非日常の写真が撮れたら、近くても「旅行」

【原田】友達同士だと、国内旅行はどの辺に行くの?

撮影=プレジデントオンライン編集部

【小野里】日帰りも多くて、川越、江ノ島、鎌倉、横浜みなとみらいとか。

【原田】川越や鎌倉はまだわかるとして、江ノ島や横浜も「旅行」扱いなの? 「お出かけ」じゃなくて?

【小野里】横浜の場合は千葉から出てきてくれてる友達もいたので、企画としては「旅行」です。

【原田】何をもって「旅行」というの? 移動距離?

【小野里】写真……かな。非日常の写真が撮れたら、それは「旅行」です。

【原田】なるほど。写真が「非日常」だったらそれはもう旅行なんだ。でも、六本木ヒルズでも非日常の写真は撮れるよ。

【小野里】いやー、あそこで撮ってたら恥ずかしいじゃないですか。

【原田】東京近辺在住者の若者にとって、六本木ヒルズは非日常ではあるけど、写真を撮るのは恥ずかしい場所なんだ。“都会都会”しているとダメってことなんだろうか。じゃあ、東京だけど“都会都会”していないとしまえんは?

【女性陣】ああ? はい、それは旅行です。

【原田】旅行かどうかっていうのは、距離じゃないんだね。

【正田】僕の気分だと、移動距離は短くても滞在時間が長ければ旅行です。

【原田】なるほど。六本木ヒルズは一日中は過ごさないけど、としまえんみたいな遊園地は一日過ごすもんね。

昔は移動距離の長さが旅行の定義の重要な因子だったけど、今は経済的に余裕のある若者でも、「安・近・短」な場所を「旅行」と言うケースが多くなっている。それって、今の若者がSNSによって人間関係数が増えた結果、すごく「忙しく」なったことも関係しているように思う。友人1グループあたりに割ける時間が少ないから、多くのコミュニティと関係を深めようと思ったら必然的に短い旅行を数多くこなすことになる。となると、世の調査で1泊以上の遠距離を旅行と定義している場合、「若者の旅行離れ」という認識は実は違っていて、「安・近・短」の旅行は意外とこまごま行っている可能性もあるわけだ。

【浅見】あと、外国人観光客がいるスポットに行くと、近くても「旅行だな」って思えますね。

【原田】六本木ヒルズや新宿のビックロや銀座にもたくさん外国人はいるじゃない。

【浅見】あ、いえ、欧米系のほうが多い場所ってことです(笑)。

【原田】中国人などのアジア系が多い場所はダメなんだ。じゃあ、欧米人に人気の新宿ゴールデン街も旅行になるんだね。確かにあそこ、最近は若者の間でも人気になっているもんね。ところで、昔は「青春18きっぷ」を使って安く国内を回る若者が多かったけど、今はどうなの?

【高貫】こないだ山形の銀山温泉に行った時に使いました。

【小野里】移動に時間がかかるから、私はあまり使わないです。

【牧之段】そうですね、友達と行くなら出発地からレンタカーを借りちゃいます。

【原田】鈍行列車でのんびり移動するプロセスも楽しいけどね。それこそピースボートで何カ月もかけて船で世界一周とか。昔からあるやつだけど。

【小野里】そういう長期旅行の費用を貯めるためにたくさん働くのは嫌です。自分の知らない世界を開拓する目的の旅行もあると思うんですけど、今の友達との関係を希薄にしたくないので。

【原田】友達の数が多いから、ひとりひとりとの関係性のケアが大変で、長期間旅をするとか、そのために長期間バイトをするとか、そういうことは嫌なんだ。やっぱり今の大学生は忙しくて、「ピースボート」なんかにのんびり乗って世界一周をする時間はないんだね。