防衛力増強以外の方法を見つけるべき
防衛力の増強は一時的には抑止力が働き、相手国との関係を有利に保つことができるかもしれない。だが、長い目で見た場合、軍事力の増大は悲惨な大戦争を繰り返すだけである。
「目には目を」という圧力は、憎しみの連鎖しかうまない。「非現実的な理想論だ」と批判されようが、沙鴎一歩はこの考え方だけは変えない。
防衛力を強めるべきか、それとも防衛力増強以外の方法を見つけるべきなのか。
その方法を見つけ出して世界に訴えることができるのは、世界で唯一の敗戦・被爆国の日本しかないと思う。
さて新聞の社説が今回、どう主張しているのかを読み解きながら、「答え」を探っていきたい。
「不毛な軍拡競争に道を開きかねない」
12月19日付の朝日新聞は社説を1本で大きく扱い、「安保法後の防衛大綱」「軍事への傾斜 一線越えた」との見出しを掲げている。
「一線越えた」とは、実に安倍政権嫌いの朝日社説らしい指摘だ。まず冒頭部分で鋭く指摘する。
「これまで抑制してきた自衛隊の打撃力を拡大する」
「こうした防衛政策の転換をさらに推し進めれば、不毛な軍拡競争に道を開きかねない」
「年明けの通常国会で、徹底的な議論が必要だ」
「不毛な軍拡競争」と言い切るところも、さすが朝日社説である。沙鴎一歩は「目には目を」と防衛力の強化のみに走る危険性は指摘したが、「不毛」とまでは批判できない。なぜなら抑止力は働くことは働くからだ。
「戦闘機を常時艦載しないので『空母』に当たらない」
朝日社説はさらに矛先を安倍政権に突きつける。
「より多くを日本に求める米国の意向を受け、自衛隊の攻撃的な能力は少しずつ整備されてきたが、今回は一線を越えたと言わざるをえない」
「『空母』の導入だ」
見出しの「一線を越えた」がここに出てきた。「空母の導入」とは海上自衛隊で最大級の「いずも」型護衛艦2隻を改修し、垂直着陸ができる米国製戦闘機のF35Bの購入を指す。
「政府はかねて、自衛のための必要最小限度を超える攻撃型空母は憲法上保有できないとしてきた。改修後のいずもは戦闘機を常時艦載しないので、『空母』に当たらないと説明するが、詭弁というほかない」
「将来的には、南シナ海やインド洋、中東に派遣され、米軍機の給油や発着に活用される可能性も否定できない」
沙鴎一歩も「詭弁」だと思う。黙っていると、政治の世界はこの詭弁が通用する。それだけに来年の国会での野党の追及に期待したい。野党の存在意義が掛かっている。
私たち国民はその詭弁に騙されてはならない。国会の与野党のやり取りの様子をしっかり把握し、自分の頭で考えるべきである。