“専門性高い少数従業員企業”の給与は高水準に
トップ10のうち、持株会社を除くと、2位の日本商業開発、6位のランドビジネス、8位のいちごの3社が少数の従業員による運営だ。開発土地の仕入れはもとより、不動産資産の向上、売却益の確保など専門性の高さが年収に反映されているのだろう。
太陽光発電などクリーンエネルギーも手がけるいちごは、従業員が毎年10人前後増加するとともに、平均年収も増えている。今年度の従業員数は88人、平均年収は992.8万円だが、2013年度は従業員数51人、平均年収は874万円だった。
財閥系の三菱・三井、社歴ベースの給与はほぼ同じ
主要企業では、売上高が業界トップの三井不動産がダウンである。前年度比で従業員が約130人増えたためだろう。開示している人件費総額は増えている。同社は約1500億円を投じ、米国ニューヨーク・マンハッタンでオフィス開発を進める。
東京・丸の内地区の大家といわれ、米国への進出も他社に先んじている三菱地所の平均年収は、三井不動産を上回る。ただし、平均勤続年数が三井不動産より5年以上長い。同じ社歴で比較してみれば、給与水準はほぼ同等と見てもいいだろう。
旧財閥系では、住友不動産の平均額が600万円台である。三菱地所や三井不動産を大きく下回るが、従業員数が多いことが平均額を押し下げている要因のひとつ。三菱地所の7倍超である。平均勤続年数がおよそ7年と短いことも無関係ではない。
持株会社である東急不動産ホールディングス(HD)は1100万円台、野村不動産HDは1000万円超である。
三菱地所や三井不動産、住友不動産などの場合は、平均年齢や平均勤続年数によって、平均額を上回る人もいれば下回る人も多数存在する。その点、持株会社の場合は、限られた人員による平均額である。東急不動産HDと野村不動産HDの2社の平均額は、大手不動産における個人の年収の目安となる。