自己啓発本を読んでも行動に移せなかった
「先月の広告収入は、新規のキャンプ動画を2本あげただけでトータル80万円」というヒロシさん。芸人とYouTubeの2分野で成功をおさめたわけだが、自分自身を「考え方が本当に普通の人間」と評価する。
「リスクをとって勝負することがなかなかできないんですよ。石橋を叩いて割れないか、さらに流されないかまで確認して渡るタイプなので。僕は自己啓発本や成功者のビジネス書が好きで、今までたくさん読んできたんです。でも、読んだそのときは熱くなっても、結局行動に移せませんでした。起業家の堀江(貴文)さんがいうように『イヤな会社なんて辞めちゃえ』という考えには共感するんですけど、『いきなり辞められないよ』とも思う。そういう意気地のない人は多いと思うんです。当面の生活資金も要るし、もし子どもがいたら養わないといけないし。ラーメンが好きなサラリーマンが、いきなり退職して『ラーメン屋やるぞ!』と設備投資するのは、かなり勇気がいる」
「いちかばちか」で始めなくていい
「でも現状に不満があって自分の好きなことをやりたい人は、ちょっとでも行動しないかぎり何も変わらないのも確かです。だからラーメンが好きなら、本格的なものを作って友達や行きつけの飲み屋のマスターとかに食べてもらって、意見や感想を聞くところから始めればいい。一歩じゃなくていいから、4分の1歩を踏み出す。びびりながらもちょこちょこ挑戦して、できるだけダメージを負わない方法を選ぶ――。YouTubeにアップするのも同じことです。流行する動画ってどんどん狭いジャンルに行っているから、『こんなの俺しか興味ないだろ』というものを次々にアップすれば、何かしらヒットする可能性はあると思いますよ。いちかばちかで起業して大金を狙うんじゃなくて、辞めないまま始めればいいんです」
「そこでもしひとつ楽しみができると、仕事がつらくても気持ちは変わってきますよ。僕は営業で忘年会に呼ばれることがあるんですが、誰もネタを聞いてなかったり、ネタ中に酔っ払いがぶつかってきたりして、そういう場は正直つらい。でも『年が明けたらキャンプに行く』と思うと、それを楽しみに乗り切れるんです。会社がつまらなくても、自分を保てる場所があれば救われるし、あわよくば儲かるかもしれませんから」