争点は「強制か任意か」ではない。労働環境に違法性があったかどうか

ただし日本の最高裁の考え方の(4)にある通り、現在において民事訴訟での解決は不可能というのが日本の立場である。

しかし、最高裁の考え方(5)にある通り、加害者は被害者に対して、訴訟外において誠意をもって対応すべきであるという考えも示している。繰り返し言う。訴訟外において加害者は、被害者に対して誠意をもって対応しなければならないのである。

今の日本政府や与党自民党、そして威勢のイイ保守を気取るインテリたちは、この最高裁の論理を分かっているのか。

実際、この訴訟の被告(最高裁では上告人)となった西松建設や、中国の裁判所に訴えられた三菱マテリアルは、中国人元労働者に対して和解金を払った。これらの日本企業は、戦時中、安全配慮義務に違反するかたちで労働させていたことを認めたのである。これは中国人元労働者を強制連行したかどうかということよりも、労働環境自体が違法であったことを問題視したのである。

安倍晋三首相や自民党は、「徴用工」という言葉にこだわっているが、そこはたいした問題ではない。安倍さんたちが言うように労働者が自らの意思でその企業に勤めたとしても、違法な労働環境で働かされれば、それは賠償請求の対象になるからだ。ブラック企業に自らの意思で勤めた者が、その企業のブラックさを訴えるのと同じである。もし安倍さんや自民党の考え方でいけば、自分の意思でそのブラック企業に勤めたのだから、どれだけブラックであってもゴチャゴチャ言うな! ということになってしまう。

これは今、安倍政権で力を入れている働き方改革の考え方と完全に矛盾する。安倍政権は、過酷労働はダメだという思想で残業規制を作ったり、労働基準監督署による監督強化を図ったりしている。そうであれば、「徴用」ではなく労働者の意思で企業の採用となった「募集」の場合であっても、企業の違法な労働環境については厳しい姿勢で臨まなければアンフェアだ。

だから、「徴用」、「官あっせん」、「募集」という採用形態にこだわるのではなく、戦時中のそれら日本企業における労働環境がどのようなものであったのか、違法なものであったのかについて検証することが重要になってくる。

(略)

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※本稿は、公式メールマガジン《橋下徹の「問題解決の授業」》vol.130(12月4日配信)を一部抜粋し、加筆修正したものです。もっと読みたい方はメールマガジンで! 今号は《【韓国徴用工問題(2)】2件目の「賠償命令」でいよいよ冷え込む日韓関係。収拾のために何をすべきか?》特集です。

(写真=iStock.com)
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