具体的な取り組みの一つは、3日に一度の席替えです。いつまで続けるかはクラスの状況によりますが、大変好評で高校3年でも、少なくとも2週間に一度は席替えを行っているようです。席替えによって、いつも同じではなく違う相手と授業中に意見を交換したいという生徒の希望によるものです。

女子校に入ってくる生徒たちの中には、自己肯定感が非常に低く、人と話すことが極端に苦手な子もいます。このような子は、放っておくとクラスの片隅で誰にも気づかれることもなく、誰とも話すことなく1学期を終えてしまうものです。

しかし、3日に一度席替えがあれば、少なくとも「おはよう」「名前は?」といった会話を3日に一度はすることになります。前後の席の子が挨拶をしてくれば、その機会はもっと増えるでしょう。

挨拶から広がる対話の輪

挨拶というのは、私たちが思っている以上に重要なものです。実はこれが自己肯定感を上げる第一歩になります。「挨拶ぐらいで大袈裟な」と思われるかもしれませんが、挨拶は「目の前にいるあなたを、1人の人間として認識しています」ということが前提にあり、そこから次の会話が広がっていくものだからです。

私たちは最初の保護者会で、保護者の方に「『お友達できた?』と聞かないでください」というお願いをしています。母親に心配をかけないために焦って友達をつくろうとすると、女の子の場合は気が合わなくても、しばしば名簿順に並ばされた周囲の人と“友達”になってしまうことがあります。

女子の仲間づくりのポイントは秘密の共有です。「これ、あなたにだけ話すことだから、他の人に言っちゃダメよ。もう抜けさせないからね」などと抜けたくても抜けられない状況ができてしまい、トラブルの原因にもなります。