女子はタテよりヨコの関係性が落ち着く

では、女の子の自己肯定感はどのようにすれば上げられるのでしょうか。それには女子ならではのコツがあります。

吉野 明(著)『女の子の「自己肯定感」を高める育て方:思春期の接し方が子どもの人生を左右する!』(実務教育出版)

例えば、男子と女子では集団のつくり方が全く違います。男子は子どもの頃からタテ社会の競争原理の中で生きています。ボスがいて、フォロワーがいて、パシリがいて、という数人から十数人の大きな集団をつくります。クラスメイトでなくても、それは同じです。一緒にゲームを楽しむ仲間同士でも、ゲームの腕や持っているアイテム数によって、自然とヒエラルキーができてくるものです。競争して、切磋琢磨していくタテ関係のほうが落ち着くのが男子です。

一方、女子はヨコにつながった人間関係を心地よく感じます。上下を決めずに、それぞれの場とコミュニケーションを大切にする感覚です。

自己肯定感が高い子たちが集まると、ヨコの人間関係は自然に形づくられていきます。部活をがんばる子たちのグループ、漫画が好きな子たちのグループ、オシャレが好きな子たちのグループ、勉強ができる子たちのグループ、あるいは別々のことでがんばっている子たちが一つのグループをつくり、それぞれが「私はここでがんばる」という場を持ち、他のグループの存在も認め合います。同じグループでなくても「がんばれ!」と言い合える関係は、1人ひとりが自立して自己肯定感が高く他人を認めることができるからです。

しかし、自己肯定感が低い集団では、自分も他人も認めることができず、常に相手を否定する目線で見るようになってしまいます。そうなると、集団はだんだんとタテ型になっていきます。「この子は私より下、あの子は上」というようにタテの関係を構築してしまうのです。この場合の指標は、成績、容姿、家庭状況などさまざまです。タテの人間関係が本質的に向かない女子にとっては、非常に辛い関係性となってしまいます。

安心できる人間関係を「席替え」でつくる

鴎友学園では、入学後すぐに、自己肯定感を高める取り組みを積極的に行ないます。それは女子が安心していられるヨコ型の人間関係を構築するためです。自己肯定感が上がると、勉強も落ち着いてできるようになり、成績も上がります。自己肯定感の高さがやる気を生み出し、自分から勉強するようになると成績にも表れて、ますます自己肯定感が上がる、というプラスの循環を生むようになるのです。