とはいえ、体育会の活動に真剣に取り組んできた学生ほどOB・OGに頼らざるをえない、という事情もある。体育会の活動は週6日以上が大半を占め、引退時期は4年生の夏が多く、なかには12月まで試合が続くところも。就活の時間が十分に取れない体育会学生にとって、自分を引き上げてくれるOB・OGとのコネクションは大切な命綱なのだ。

そして、「地頭のよさ+体育会経験」が重視される就職市場で、今後、「+ビジネスセンス」も期待されるという見方もある。

「最近の大学スポーツでは、プロチームのような組織運営をするという新しい潮流があります。その先駆者的立ち位置にいるのが、筑波大学蹴球部(サッカー部)。チーム内に、地元の企業などにスポンサーを依頼する営業担当スタッフや、活動を情報発信しチームのブランディングを行うSNSスタッフなどがいて、学生が組織運営上の何らかの役割を担っています。似た動きは他大学でも出てきており、上位校・強豪校であるうえに、組織運営でビジネスセンスを培った学生に、人事は間違いなく注目するでしょう」(久保谷氏)

一見、門戸が狭そうな体育会だが、高校からのスポーツ推薦でなければ入部できない体育会はごく一部。つまりスポーツエリートでなくても、一般入試で上位校に入学し、新入生を歓迎する傾向のあるラクロス部、アメフト部などに入部すれば、人事に評価される体育会ブランドを手に入れることはできる。ただし識者が口を揃えるのは、「就職だけを見据えて体育会に入っても、4年間続けるのは難しい」。就職市場で体育会が評価されるのは、本当に好きなスポーツを真剣にやりきった副産物と考えたほうがいいようだ。

▼必要なのは「硬い筋肉」よりも「柔らかい発想」
昔は…「体力」「命令に従順」「メンタルの強さ」
今は…
1.自主性
上からの指示をただ待たない。常に当事者意識を持ち、自分が組織の中のどのポジションで、どう動くべきかを判断して行動する。
2.計画性
目標達成のために、今何をするべきか、これから何をするべきかという逆算思考ができ、それをコツコツと遂行していく。
3.組織調整力
レギュラーになれなかったらサポートに徹して全力を尽くすなど、チームワークの重要性を踏まえた行動ができる。
4.積極性
業務の改善点や新提案など、自分の意見を物怖じせず、進んで言える。さらに、実現まで粘り強くプッシュし続ける。
5.コミュニケーション能力
チームプレーを成立させるため、自分の意見を人に伝え、さらに相手の話を聞く。先輩・後輩との接し方も把握している。
(写真提供=一橋大学端艇部、筑波大学蹴球部 写真=iStock.com)
【関連記事】
銀座クラブママ証言「デキる男」の共通点
アマゾンに対抗できる"唯一の企業"の名前
会社が絶対手放さない、優秀人材6タイプ
"60歳に見えない"美容室社長の引退計画
どんな相手とも10分雑談できる達人ワザ