世の中には体の丈夫な人もいれば弱い人もいるので、ここに示されたのはあくまで平均値にすぎません。とはいえ一般論として、ある時期・年齢の子どもがどれだけ医者(歯医者を含む)のお世話になるかをざっくりイメージしてみると、乳幼児期は体が弱くてよく医者に連れていったのに、小学生、中学生と大きくなるにつれて(スポーツでケガなどしなければ)医者に行く機会が減り、社会人になってもしばらくは風邪ぐらいでしか行かないのに、年を取ってくると関節やら内臓やら体のあちこちにガタが来て医者通いが始まる……といったことは想像がつくでしょう。

つまり、小学校高学年あたりから子どもが扶養家族を外れるまでの10年ほどが、一般的には一番医療費がかからない時期なのです。自己負担3割で計算すれば、年間の負担は3万円もかからないわけです。

医療費負担で住むまちを決めてはいけない

そんな前提を頭の片隅に置いた上で、たとえばの話ですが、子どもの医療費負担が高校3年生までタダの東京都千代田区と、厳密には小学校3年生(大目に見ても6年生)までしかタダにならない横浜市を比べて、住まいを決める際にはどちらを選んだほうが得でしょうか。

一見、6~9年間の違いは大きいなあと思うかもしれませんが、先ほどの図表2に基づき想定される、平均的な年間医療費自己負担額は10~14歳が約2万7600円、15~18歳は約2万1600円です。

一方、両地域の不動産価格水準を考えてみてください。支払う住宅ローンや家賃・駐車場代の差は、少なくとも毎月数万円、年間では数十万円以上の差が出ますよね。あくまで、きわめて単純化した金勘定だけでいえば、年間3万円程度の医療費助成に目を眩ませることなく、住むまちを選んだほうが賢いといえないでしょうか。(続く)

大原 瞠(おおはら・みはる)
行政評論家
1974年生まれ。兵庫県出身。大学卒業後、学習塾講師や資格試験スクール講師を経て、行政評論家として活動。