本当にこれは自分が取り組むべき計画なのか?

『倒れない計画術』(メンタリストDaiGo著・河出書房新社刊)

「MACの原則」を使うときの注意点は、1つ1つの要素を満たしているからと安心しないことです。

例えば、「売り上げ前年比20%アップ」はメジャラブルな目標で、「達成時に臨時ボーナスが出るからがんばる」となればコンピテントも満たします。しかし、その数字を目指してがむしゃらにがんばるだけでは、途中でつまずく可能性が高くなってしまいます。

なぜなら、具体的なプロセス、行動の手順が示されていないからです。アクショナブルが足りない段取りは、机上の空論になりやすく、実行時にトラブルが生じると容易に崩れてしまいます。

「MACの原則」は「M」「A」「C」の3つの要素を満たすことで機能するのです。メジャラブルだからOK、アクショナブルだからOK、コンピテントだからOKではなく、メジャラブルで、アクショナブルで、コンピテントだからこそ、真剣に段取りを組み、本当に追求すべき目標となるのです。

結果、年間約1億円の出演オファーを断った

年間約1億円の出演オファーに対して、私は「MACの原則」を使い、考えました。

M(メジャラブル)=「可能な限り、365日毎日出演。ギャランティーは1回の放送で30万円。年間約1億円の報酬」
A(アクショナブル)=「出演するとなると、毎日同じ時間に都内にあるスタジオに行かなければならない。往復の移動時間、メイクなどの準備、本番前の打ち合わせを含めると3、4時間拘束。放送時間は20時台なので、他の仕事は必ず夕方には切り上げなければならない」
C(コンピテント)=「この仕事は本当に自分が望んでいることなのかを考える」

アクショナブルな要素を細かく抽出していくと、1億円というメジャラブルな数値の魅力が少しずつ色あせていきました。しかも、放送中は自分の興味のないクイズに参加したり、話題のニュースにコメントしたりしなくてはいけません。

果たして、その仕事は私の人生の価値観に沿ったものなのか。コンピテントの視点から見たとき、「この仕事はやるべきではない」と決断しました。

このように数値化、プロセスの具体化と並行して、「本当にやるべきか」のふるいとなるコンピテント/適格性に照らし合わせることで判断が下しやすくなるのです。だからといって、コンピテントだけで段取りを始めると抽象度が高く理想を追うばかりの目標になってしまい、失敗します。三位一体で活用することで、「MACの原則」は最強の段取りのための段取り術となるのです。

メンタリスト​DaiGo
慶應義塾大学理工学部物理情報工学科卒業。英国発祥のメンタリズム(人の心を読み、操る技術)を日本のメディアで初めて紹介し、多くのTV番組に出演。その後、活動を広げ、企業のビジネスアドバイザーやプロダクト開発、作家、大学教授として活動。ビジネスや話術から恋愛や子育てまで幅広いジャンルにおいて人間心理をテーマにした著作は、累計270(HP最新)万部を突破
(写真=iStock.com)
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