移住する者が気をつけておくべきこと

Iターン・Uターン・Jターン就職では中小企業に就職するケースが多い。そこで避けられないのが、年収ダウンの問題だ。調査では課題のトップを占め、過半数が減収になるという。

しかし、高給の職業も一部に存在する。最近注目されるのが、マーケティングや経営戦略の策定などを担当する、地域振興のプロデューサーである。最近、山形県小国町が年収1000万円の条件で募集すると、全国から369名の応募があり、約半数が50代以上だった。また経営者や管理職を経験したシニアのセカンドキャリアとして、「継業」への関心も高まっている。

「昔からその土地でやってきた商売が、後継ぎがいないために続けられなくなることが増えています。そこで事業を継いでくれる人を他の地域から一般募集する。経済産業省などが補助金を出し、これを支援するしくみができつつあります」(高橋氏)

継業のメリットは、ゼロから起業するよりもリスクが低いこと。デメリットは自由度が低いことだ。しかし素人や移住者だからこそ、斬新な発想でイノベーションを起こす可能性も大きい。事業者と移住者がうまくマッチすれば、地方経済を活性化するしくみとして期待できるかもしれない。

継業にせよ転職にせよ、移住をともなう以上、通常の転職よりも慎重さが求められることは間違いない。地方に転職する際、何に気をつけるべきか、アドバイスをもらった。

「地方の会社の社長は、首都圏のそれよりも大きな力を持っていることが多い。社長が後ろ盾になってくれないと、社内で協力を得られないという可能性もでてきます。社長や経営陣とミスマッチを起こさないため、人柄や経営方針を、面接で納得いくまで確認したほうがいいでしょう」(加瀬澤氏)

「地方では会社とプライベートがそれほど厳密に分かれておらず、会社の人と休日に顔を合わせることもあります。うまくやっていくには、お祭りや集会に参加するなどして、自ら地域に溶け込む努力が必要です。もし不安なら、『お試し移住』の制度がある自治体も多いので、利用してその土地の雰囲気を確かめてください」(高橋氏)