年金減額は必至、老後にどう備える?

年金の支給開始年齢の引き上げ、減額は避けられない。老後にどう備えればよいのか。

「日銀が株を買い支えたり、不動産投信を買ったりして、金融市場を活性化して、みんなが健全なリスクを取るようにしたにもかかわらず、個人の証券投資は減り、利回りのない現預金に回っています。日銀が想定していたのと真逆になってしまっているのです。これは非常にまずい。日銀も今の金融政策を続けるのは難しいと気づいているはずですが、それを政府がどこまで理解しているのかは疑問です」

莫大な借金を抱える国にとっては、借金の利息が増えない低金利政策は助かっているとも言える。本来、超低金利のときにこそ、政府は財政立て直しを図るべきなのだが、歳出抑制など健全化が進んでいるとは言い難い(図8)。

「海外への分散投資」を考えたほうがいい

「金融緩和以前は、MMFや変額年金など金融商品に選択肢がありましたが、今あるのは利回りのない預金と、逆にリスクの高い仮想通貨やFXで、真ん中がない。これは不健全です」

アメリカも欧州も低金利策をやめ、正常化しようとしている。それは投資のチャンスでもある。

「リスクも踏まえながら海外への分散投資を考えたほうがいいでしょうね」

最後に五輪後の目指すべき社会とはどういうものか。軸となるのは「身の丈消費」だと白井さんは言う。

「大量生産せず、大量消費もしない。あるものを分かち合い、ゆとりを持った生活、環境に優しい社会を目指す」

社会保障費抑制という意味ではなく、多くの人が抱える「いつまで健康に生きるかわからない不安」解消のために、欧州で進む安楽死の選択の自由もオープンに議論されてもいいだろう。

「そういうことまで含め国民レベルで議論すべきときがきています。これはダメと最初から否定しないで、発想を広げ変えていく必要があるのです」

白井さゆり
慶應義塾大学総合政策学部教授
アジア開発銀行研究所客員研究員。2011~16年まで日本銀行政策委員会審議委員を務める。近著に『東京五輪後の日本経済』ほか。
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