「低収入でも幸福」という発想が必要

ただ、販売価格が上がらなければ、年収400万円でも暮らせる。これからは高度経済成長を求める時代ではないと白井さんは続ける。

「政府は高い成長率を掲げているけれど、高齢化する社会で高い経済成長を維持するのは難しい。ほとんど成長しないけれど、そこそこ高い生活水準を維持する。高齢化社会なら、むしろ輸入品が安く買える円高のほうがいいのかもしれないし、低成長、低インフレで何が悪いと発想を変えてみることが必要でしょうね」

22年の生産緑地の指定解除で地価は大幅下落する

資産の1つの不動産。この価値も東京五輪以降に大きく変わりそうだ。なかでも22年の生産緑地の指定解除にともない首都圏(1都3県)で東京ドーム1657個分にあたる7747ヘクタールという広大な土地が放出される可能性があるからだ。当然、地価は大幅に下がり、土地の有効利用としてアパート、マンションなどの建設ラッシュも予想されている(図7)。

「日本は住宅の中古市場がないのですが、これからは空き家を活かして、居住空間をもっと豊かにという方向に向かうのではないでしょうか。

地方も、人混みの嫌いな人向けに畑仕事や自然のなかで子育てができ、テレワークで仕事のしやすいインフラづくりをすれば過疎化を避けることができるかもしれません。とはいえ、これまでのような行政サービスは続けられないので、コンパクトシティ化することが求められるでしょうね」