「ネット右翼的」行動様式の広がり

【辻田】ネトウヨ動画のBANだけを見ていると、行き過ぎた記号の遊びに歯止めをかけているように見えますが、そう簡単ではないと思います。彼らがやっていることはネットでいかに人を動員して相手を黙らせるのか。広告主にクレームを入れるなど、相手の痛いところを突いてくる。形式だけ見れば、ネット右翼のやっていることと一緒です。ネット右翼の行動様式がほかに乗り移っているのかもしれない。今はそれほど目立ちませんが、ネット左翼的な人もこれから出てくるでしょう。

【藤井】おっしゃる通りです。なんでも乗せられるメソッドだからこそ、構造を注視しなければいけません。

【辻田】RADWINPSの曲についても、最初に「軍歌」とレッテル張りしたのがよくなかった。そこから「軍歌だ」「いや軍歌ではない」という、ネット左翼とネット右翼のいつもの不毛な争いになってしまった。

【藤井】条件反射的に、記号だけを見ているのですね。

藤井達夫(ふじい・たつお)
政治学者
1973年岐阜県生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科政治学専攻博士後期課程退学(単位取得)。現在、同大学院ほかで非常勤講師として教鞭をとる。近年の研究の関心は、現代民主主義理論。共著に『公共性の政治理論』(ナカニシヤ出版)、共役に『熟議民主主義ハンドブック』(現代人文社)など。
辻田真佐憲(つじた・まさのり)
作家・近現代史研究者
1984年大阪府生まれ。慶應義塾大学文学部卒、同大学院文学研究科中退。現在、政治と文化芸術の関係を主な執筆テーマとしている。著書に『空気の検閲』(光文社新書)、『文部省の研究』(文春新書)、『たのしいプロパガンダ』(イースト新書Q)など多数。