昔と違って医療の世界もオープンだ。医者にかかると病名を告知され、治療方針の判断を迫られる。そのときに迷わないための知識を身に付けておこう。
医者の出身大学で、こんなことがわかる
家や自動車を購入するときは自分でも情報を収集し、何度も吟味したうえで意思決定しますね。ところが医療となると、なぜか思考停止し「医者まかせ」になってしまう。これは非常に奇妙なことだと思いませんか。
私はこれからの患者に必要なのは、自分で医者と治療を選び、意思決定をする「患者力」だと思っています。
もっとも、内科医に腕のよし悪しはありません。画像診断が発達したので、研修を終えたばかりの新人でもベテランでも診断にほとんど差はない。
他方、外科医は腕の差が如実に出ます。偏差値や出身大学と手術の上手、下手は全く関係ありません。センスの問題。ここが肝心なところです。
また専門医の資格を妄信しないこと。心臓血管外科医がいい例です。
2017年11月現在、「心臓血管外科専門医認定機構」が認定している心臓血管外科医は2069人です。日本の心臓外科手術は年間約6万8000件行われており、心臓血管外科医1人あたりの年間手術件数は平均33件。一カ月あたり3件にもなりません。
一般に心臓外科医としての腕を維持するには、最低年間100例以上の執刀経験が必要だといわれています。週2件以上です。この条件を満たす医者は全国でも30人以下でしょう。2069人のうちのわずか1.4%です。
したがって心臓の手術をするときは、この上位30人に接触するべきです。他の外科手術とは違い、手術中のアクシデントが死に直結するからです。
ちなみに心臓と並び称される脳神経外科医は、3倍以上の7630人が登録されています。脳神経外科は科としての歴史が長いだけあって医師数が多く、各地に名医がいます。