また、いい医者は謙虚で素直です。「私は専門外なので、他の先生の意見を聞いてください」と謙虚にいえる医者は信用できます。セカンドオピニオンの希望に渋い顔をする医者は論外で、画像検査データをDVDにして「よく聞いてきてください」と送り出すくらいでなければ、縁を切りましょう。

セカンドオピニオンは、主治医の出身医局とは別の系列で修業した医者の意見を求めるのがコツです。

医者の教育は一種の徒弟制度で、同じ系列の医局出身者は治療法やアプローチが似通っています。たとえば主治医が東京大学や東大系の病院で修業した人なら、セカンドオピニオンは慶應義塾大学系の医者を選ぶということです。主治医の出身校や経歴を調べる意味は、偏差値を確認するためではなく、こういうところにあるのです。

心臓病

心筋梗塞や狭心症の治療は手術かカテーテル治療かと聞かれたら、自分自身の経験から「結局はバイパス手術が必要になりますよ」と回答します。

初めて胸が何かに押されているような圧迫感を感じたのは、04年12月6日の朝方でした。左胸が痛み、冷や汗が出たのです。これは心臓の血管に異常があると思い、心臓外科医の南淵明宏氏に連絡をとりました。

CTと心電図では異常は見つからなかったのですが、超音波(エコー)で見ると、左心室(左のポンプ)が動いていません。「これはステントを入れないとダメですね」と南淵医師。3本の冠動脈のうち真ん中の「左前下行枝」が詰まっていたのです。即、ステント手術となりました。57歳のときです。

「ステント」とはステンレスなどでできている金属の筒で、カテーテルを通じて血管に入れることで滞っていた血流が再開します。しかし「何年かすればまた動脈が詰まるでしょう。そうなると心臓外科でバイパス手術が必要になりますよ」(南淵医師)と予言されていたとおり、8年後に再び胸痛に襲われ、結局は冠動脈バイパス手術を受けることになりました。

バイパス手術は大手術になるため躊躇する人が多いのですが、私が経験したとおりステントに比べバイパスは「一生モノ」です。

ただ、最初から心臓血管外科を受診する人はいないと思います。外来ではまず循環器内科で「ステントを入れて様子を見ましょう」といわれるでしょう。今は「低侵襲」がうたい文句のステントが大流行ですし、正直にいえば医者も新しいことを試したい。結果、何本もステントを入れたあげく、バイパス手術を受ける機会を逸して亡くなった知人もいます。

現実的なのは、ステントを入れて経過を見ている間に、腕のいい心臓血管外科医を探しておくことです。将来必ず、バイパス手術が必要になります。