議員の常識は「自分の選挙が一番大事」

地方議員にとっては統一地方選が、改選を迎える参院議員にとっては参院選が一番大切であることは言うまでもない。ただし、それぞれの選挙は関連しあっている。

国会議員にとっては自分の系列の地方議員を1人でも増やすことが自分の当選の近道となる。地方議員にとっては、地域の細かな陳情を受けてくれる国会議員の存在は不可欠だ。

そして改憲国民投票も無関係ではない。改憲を訴えてきた自民党などの保守勢力、改憲阻止を主張してきた護憲勢力にとって国民投票は今後の政治の行方を左右する。つまり国、地方を問わず政治家にとって地方選、衆参国会議員選、国民投票は、一つとして手を抜けない性格のものだ。

だから消化試合に付き合っている時ではない

そこで自民党総裁選である。党総裁選も、地方選や参院選と密接にからんではいる。地方議員や国会議員にとっても、来年にも行われる自分の選挙の時の「党の顔」が誰になるのかは、重要だ。

ただし、ご存じの通り今年の総裁選は安倍氏が3選するのは確実な情勢。いわゆる無風選挙。自分の選挙の時の「顔」が誰になるかは、既に事実上決まっている。だから地方議員や国会議員は「今は消化試合に深入りしている暇はない」のだ。

今、地方議員たちは競い合うように安倍氏との面会を求め、総裁選での支持を伝えている。このことは、既報の「安倍首相が"3選圧勝"に執念を燃やすワケ」で紹介した通りだ。一見、地方議員たちは熱心に動いているように見えるが、それは、自分の選挙に利用しようと安倍氏とのツーショット写真を撮影するため。目的を達成した後は、きたる自分の選挙に全力を傾けることになるだろう。

というわけで、総裁選は盛り上がりに欠けたまま9月20日に予定される開票日を迎えることになる。

(写真=時事通信フォト)
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