これからの時代は「自分で直す」スキルが必要

異常気象による自然災害など、建物の劣化を加速させる要因には事欠きません。適切なメンテナンスをされないまま放置され、朽ち果てていく家も増えています。一方で、大量消費をやめ、ひとつのものを修理して大切に使おうと考える人々も増えているように感じます。

西沢正和監修『自分で直せば断然お得!身のまわりの修理の教科書』(PHP研究所)

このような時代だからこそ、個人が「自分で直す」スキルを持って、ていねいに身のまわりのものを修理していくことが必要ではないでしょうか。

「何から始めたらいいのかわからない」という人は、家具の修理をしてみてはいかがでしょう。開け閉めの多いキッチンの戸棚やキャビネットの扉は、がたついてスムーズに閉まらなくなることがあります。これは、スライド蝶番のネジがゆるむなどして、扉の位置がずれたためです。ドライバーを使って左右、上下、前後のそれぞれのネジを調整し、扉の位置を調節すれば直ります。業者に立てつけを見てもらうと約1万円かかるところ、自分で行えば0円で済みます。

システムキッチンの収納扉や、リビングの家具の扉は、長年使っていると汚れや色あせが目立つもの。家具に粘着シートを貼り付けてリフレッシュするのも、業者にお願いすれば約1万8000円ですが、自分で行えば約3,400円と、手軽に行うことができます。

もちろん、電気やガス関係、屋根周りなど、素人が行うと危険な修繕もあります。そのようなところはプロにお願いするとしても、自分でできるところは自分で直すことを心がければ、快適で安全な環境が守られ、家の中や周辺のみならず、地域、ひいては日本全体を丁寧にメンテナンスすることにつながると思います。

ちょっとした修理やDIYに目覚めたら、たまに田舎に帰省したときなど、古くなった実家のはがれた壁や、穴のあいた床などを、老いた両親に代わって修理してみてはいかがでしょうか。きっと喜ばれると思いますよ。

西沢正和(にしざわ・まさかず)
DIYアドバイザー
1957年、東京生まれ一般社団法人日本ドゥ・イット・ユアセルフ協会シニアDIYアドバイザー。電気工事士。有限会社ウッドハウス代表取締役。日本DIY協会のDIYアドバイザー学科・実技資格試験講師を務めるかたわら、新聞、雑誌への寄稿なども手がけている。横浜で50年愛されている修理屋さんの二代目。
(MasakazuNishizawa,ZOUJIMUSHO=図版)
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