高収入なのに貯金ができない家庭の問題点は何なのか。都内湾岸地域のタワーマンション住まいの4人家族。ローン返済や無自覚な浪費のため毎月収入分をほぼ使い果たし、私立中学・高校志望の娘2人の学費・塾代を出せない。そこでビットコインを始めたところ、哀れ大損……。娘の進路と家計の大ピンチをどう乗り越えればいいのか。ファイナンシャルプランナーの横山光昭さんが家計費目にメスを入れる――。

東京ベイエリアの6000万円タワマン族は「転落直前」

「昨年11月末に10万円で始めたところ、1カ月で2.5倍に値上がりして、調子に乗って100万円つぎ込んだら、今年になって大暴落してしまって……。気がついたら大事な貯金が半分に減ってしまいました」

疲れ切った様子で相談にきた都内在住の会社員・池内正雄さん(42歳・仮名)と会社員・直子さん(42歳・仮名)のご夫婦。夫の同僚から「簡単に儲かる」という話を聞いて、ものは試しとビットコインを始めた。最高の滑り出しだったのですが、その後は損失が続き、取り返しのつかないところまできてしまったそうです。一体、何が起こったのでしょうか。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/fotoVoyager)

池内家は、夫婦と中学2年生と小学5年生の娘さん、猫2匹とともに、東京ベイエリアの高層マンションに住んでいます。いわゆる「タワマン族」としての豊かな生活を満喫しています(3LDKで約6000万円の新築物件)。手取り月収はご主人が約42万円で、奥さまは約31万円の合計約73万円、ボーナスもふたり合わせて年間220万円。世帯年収は額面で約1500万円の極めて恵まれた高収入家計です。

年収1500万世帯「娘の学費欲しさ」で賭けに出て、顔面蒼白

しかし、8年前にマンション購入のため、貯金のほとんどを頭金(1000万円)として使い、また月々の支出も非常に多く(計71万円)、貯金も毎月わずかしかできません(月1.7万円)。昨秋の時点での貯金は240万円しかなく、来春のふたりの娘の私立学校への進学費用を不安に思ったそうです。

そのため、それぞれ年平均100万円以上する塾代や学費を捻出するためには「簡単に儲かる投資」で一気にお金を増やすことができたらいいなと考えていたそうです。

投資のきっかけは正雄さんの同僚からこう聞いたことでした。「ビットコインは儲かるよ、自分も1.5倍くらいに増えたし」。

そんなに儲かるならと正雄さんは、仮想通貨関連の書籍を読んで基本的な仕組みを理解したうえで、「まずは手堅く」と10万円分のビットコインを買ってみました。

最初は順調でした。昨年11月末に買った10万円分のビットコインが、わずか1カ月で約26万円に値上がりし、これに味をしめた正雄さんは、即座に100万円分を追加購入。ところが、今年初めの大暴落で約3分の1にまで値下がり。焦った正雄さんは、損失分を一挙に取り返そうと、FXや個別株にまで手を出しては失敗を繰り返し、気がつくと何と110万円もの投資額が約30万円にまで減ってしまったそうです。