お取り寄せの「桃」を腐らせる家のダダ漏れ家計

しかし、池内さんご夫婦に、「支出の圧縮」を実行してもらうのは、一筋縄ではいきませんでした。

池内家の月の支出額でとりわけ目立つのが、16.8万円の「教育費」(3つの習い事や塾代など)です。3.2万円の「被服代」も主にお年頃の娘の洋服代です。子供関連だけで20万円に達してしまいます。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/Tanya_F)

これに加えて、全国各地からの高級食材(肉、果物など)のお取り寄せ代を含む「食費」が9.5万円。なぜか費目を別にしてある「外食費」が1.8万円。食費全体で11万円を超えています。さらに、奥さまが大好きだという“作家物”の「食器購入」が月平均1万円、「ペット代」(猫の高級トリミングサロン)が1.4万円。そうしたご夫婦の「こだわり出費」はバカになりません。

子供にかかるお金については、「まわりもみんな同じように使っているし、うちだけが特別じゃない」と、「お金の自分軸」がないままに無意識に使っているようでした。一方、ご夫婦の「こだわり出費」は「忙しく働いているご褒美だし、これまでずっとやってきたことだから」と、「いま、これが本当に必要なものなのか?」という自分への問いかけもなく、こちらも無自覚に出費を重ねているようです。

無意識、無自覚にムダ遣いするヤバい消費習慣

無意識、無自覚に使っているお金は、自分でムダ使いという意識がないので、支出を圧縮すべきと考えたことがなかったようです。池内さんご夫婦も「うちはそんなに贅沢していません」とは言いますが、費目を1つずつ、本当に必要なものなのかを検討していきました。

私は淡々とお聞きしました。
まず、教育費に関して。

「お嬢さんは塾のほかにスイミングとバレエとサイエンスクラブに通っていますが、身についていますか? 時間的な無理はないですか?」「まわりの子がどうあれ、ご自分の子供たちに本当に必要ですか?」

次に、作家者の器(食器)に関して。

「毎月のように作家物の器を買っていますが、年に何回くらい出番がありますか?」「好きで買っているものとはいえ、使わないものは不要なものでは?」

そのような質問をして、お金を使うときの価値判断を改めて考えてもらいました。これを粘り強く繰り返していくうちに、ご夫婦の口からこのような言葉が出てきました。

「こだわって買った桃を腐らせたけど、これからはもう買わなくてもいいな」
「猫にかける愛情はお金じゃない。トリミングは自分たちでしてあげよう」

徐々に出費の見直しが進んでいきました。

その結果、教育費約5.2万円減、食費約2万円減、外食費約1万円減、など月12万円もの支出が削減でき、毎月から約14万円、ボーナスからは110万円、1年で合計278万円もの貯金ができる目途が立ちました。