「男性保育士=体育指導」もステレオタイプ

2017年に千葉市が策定した、男性保育士が働きやすい環境を年計画で実施する「市立保育所男性保育士活躍推進プラン」をめぐり、激しい議論になりました。きっかけは熊谷俊人市長のツイッターです。

熊谷俊人市長のツイートより https://twitter.com/kumagai_chiba/status/822212316112400384

保護者たちは「うちの子の着替え」という文言にいっせいに噛み付き、瞬く間に炎上。幼女は性的な被害者になりやすい、女の子にも羞恥心がある、男女差別と性的区別を混同している……などなど、批判が相次ぎました。

中には男性保育士に期待する保護者もいましたが、男性保育士に体育の指導を率先してやってもらいたい、子どもに運動・遊びの技能を習得させてほしいなど、男性=身体能力が高い、男性=運動好き、男性=外で遊ぶのが得意、というジェンダー・ステレオタイプに基づいていたのです。

女性の場合には「お茶を入れる」のを求めるだけでセクハラになるのに、男性の場合は「男らしさ」を求める声が「期待」になる。女性であれば「そりゃ。問題だ!」と周りも騒ぐが、男性の場合は「まぁ、うまくやれよ」と諭されるのがオチ。オトナの男性たちもまた、ジェンダー・ブラインドのプレッシャーにさらされていました。

「性役割」を押し付けられる男のしんどさ

男でいることの生きづらさは「男性問題」と呼ばれています。私の男関係のいざこざではありません。ジェンダー・ステレオタイプや性役割に起因する男性差別です。以前、都議会で「早く結婚しろ」「女は子どもを産んで当たり前」といったヤジを男性議員が飛ばし問題になったことがありました。私はそれをコラムで取り上げ、

「こういった性役割を平然と言う人は、男性にも『保育園の迎えで会社を早退するなんて、真面目に働いてない証拠』『40過ぎて女房ひとり探してくることができないなんて、親が泣くぞ!』などと、終身雇用、年功序列、専業主婦が当たり前だった時代の男の価値観を刃にする」

と書いたところ、男性たちから「よくぞ書いてくれた!」と想像をはるかに超えるサンクスメールをもらいました。