「イケメンに職場活性効果あり」はスルーされる

とどのつまり男社会は、女性だけではなく男性の生きづらさも助長する。そして、男性問題に悩む男性は「面倒くさい」と思われたくないから口を閉ざします。

男性問題は、声にならない悲鳴です。

女性たちは女性の生きづらさばかり訴えますが、男性たちの声に耳を傾けているでしょうか? 私はその認識のなさがまた、「女は○○」というまなざしを生んでいるように思えてなりません。「イケメンに職場活性効果アリ?」とのアンケート調査の記事が公開され、男性たちからいっせいにブーイングが起きたことがありました。

※対象は「社内にイケメンがいる」という20~49歳の女性会社員600人。

83.7%の女性が「社内にイケメンは必要」と答え、49.8%が「イケメンがいると、仕事のモチベーションが上がる」と回答したというのです。身もふたもない回答の連続に唖然というか、笑うしかありません。「男性には、これくらい言っても大丈夫」「男性は、こんなことは気にしない」「男性は強くて当たり前」「男性は心が広くて当たり前」……。イケメンを美人に置き換えて男性にアンケートしたらセクハラとバッシングされるのに、なぜか女性には許される現実が、ここに存在するのです。

日本の男性は幸せじゃない?

内閣府の「男女共同参画白書」の平成年版で、発行以来初めて男性特集が組まれ、ニッポンの男性たちの苦悩が明らかにされました。

・共働き世帯は年々増加傾向にある一方で、男性の長時間労働は改善されていない
・非正規雇用の男性の未婚率は、30~34歳が84.5%、35~39歳が70.5%、40~44歳では57.6%
・週60時間以上就業している者の割合は、就業形態を問わず女性より男性のほうが多い
・平均所得は女性で増加傾向、男性では正規・非正規など雇用形態や学歴を問わず減少
・「現在、幸せである」とする女性の割合が、男性の割合を上回った・「現在、幸せである」とした割合を、世帯収入別に見ると、男性は300~450万円未満がピークであるのに対し、女性は世帯収入が高くなるほど幸福度が高い
・妻が「自営業主・家族従業者」の場合に夫の幸福度が最も高く、妻が「主婦」の場合に、妻の幸福度は高いが夫は低い

……お父さんたちの慎ましやかな生活を垣間見ることができる結果です。おそらくこれらをまとめた役人の方たちも、お父さんたちの「悲哀」を世間に訴えたくて、「男性特集」を組んだはずです。ところが、メディアの反応は薄かった。「男性特集」の内容を報じた大手メディアは、当時私が調べた限り毎日新聞と日本経済新聞だけ。取り上げたテレビ番組は見当たりませんでした。