老後貧乏にならないためには、様々な出費を想定し、退職後の生活設計を、事前に考えることが大切です。

60歳を過ぎた人は、「収入ダウンの崖」に3回直面します。1つ目が「定年退職後」、次が「年金生活スタート時」、その次が「配偶者の死亡時」。収入が減るときに支出の見直しができなければいけません。

昔なら、夫婦で定年退職スイッチを押して「給料も入らないし年金がこれだけなので慎ましく暮らさなければいけない」とモードチェンジができた。ところが今の人は定年退職しても、多くは再雇用で会社に残ります。給料は崖から落ちるように下がりますが、スーツを着て、ネクタイを締めて会社に行く日常は変わらない。だからモードチェンジの機会を逸してしまいます。

今の40~50代は暢気で贅沢。根拠なく「何とかなるさ」と思っている。図のBAD家計が典型で、改めないと、世帯収入が同じはずのGOOD家計との間に、60歳時点で約2000万円もの差がついてしまいます。だからマネーの知識を持つ、働くスキルを持つ、コミュニケーション力を高めるなどして「何とかするさ」と言えるスキルを身につけなければなりません。

子どもが社会人になる50代後半は、最後の貯め時です。少しハイペースで貯蓄したほうがいい。60代前半は収支とんとんの暮らしを目指してください。とにかく60代前半で貯蓄を減らさないのが大事。逆に言うと貯められるのは60歳まで。65歳になって年金生活に入れば、もう一回収入ダウンの崖に直面します。そこで初めて老後資金が年金収入では足りず、その分を貯蓄で取り崩していかなければならなくなる。このイメージを持ってほしいのです。

では、どうすればいいか。とにかく貯めるものを先に引いて、残ったお金で暮らす。これを地道にやり続けること、かつやりたいことを全部やらないことです。家計音痴の男性でも、仕事と同じだと考えれば、自社の経常利益同様に「自分の家庭の経常」も語れます。老後の対策だってソリューションが必要ですよね。家族で話し合い、緩くてもいいからルールを決めるのが大切です。会社で培ってきたその辺りのノウハウを、ぜひ家庭でも活用してください。

深田晶恵
ファイナンシャル・プランナー
生活設計塾クルー取締役。1967年、北海道生まれ。日本フィリップスを経て96年ファイナンシャル・プランナーに転身。2002年生活設計塾クルーを共同で設立、個人向けコンサルティングほかマネー情報を発信している。
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(構成=篠原克周)