「勉強はめんどくさい」と思いつつ、頑張って勉強してしまう人は多い。たが、その方法では長続きしない、と『ゼロ秒勉強術』の著書がある宇都出雅巳氏は言う。どう勉強すれば効率よくできるのか?

「頑張る人」ほど勉強の成果が上がらない理由

「スマホを見るみたいに読んで。難しい部分はどんどん飛ばして」

「頑張って勉強しちゃダメです」

声の主である宇都出雅巳さんは東京大学経済学部を卒業後、米国留学してMBAを取得した。帰国すると外資系銀行を経て、独立。心理学・認知科学の知見を取り入れて確立した学習法を、講座やセミナーでビジネスパーソンや学生に教えている。

冒頭は、そのセミナーでのひとコマ。英語を勉強する女性会社員、資格試験に臨む大学生、専門の語学以外の語学の習得を目指す大学教授など、年齢も肩書も異なる人々が宇都出さんの話に耳を傾けている。そしてその多くの“教え子”が難関資格・受験を突破している。ただそのアドバイスは「頑張って勉強するな」というものだ……。

「語学・資格試験に合格する、仕事上のスキルを習得する。そうした目標を成就させるため、多くの人は肩ひじ張って気合を入れて、取り組もうとします。その気持ちは素晴らしいです。でも、意気込みが強すぎて、かえって勉強が長続きしない人や集中力が途中で切れてしまう人がとても多いんです」

と、宇都出さん。最近の認知科学の研究では集中力や生産性の向上のための「ウィルパワー(意志力)」という概念が注目されているという。これは簡単に言うと、「何かを我慢すると、その次は我慢できなくなる」というもの。勉強の挫折は、これが原因となることもある。よって、勉強をするにはウィルパワーを節約することが重要なのだ。

そこで宇都出さんはウィルパワーをできるだけ消費しないユルい勉強法を提唱している。

「コツは徹底的に勉強のハードルを低くすること。教材やテキストのページを楽な気持ちでめくり、頑張ってわかろうとしない。それが結果的に真の理解や合格などへの近道となります」