飛ばし読み&繰り返し読みが効果的
具体的にはどう実践すればいいのだろうか。まず、筆頭に挙げられるのが、「飛ばし読み」だ。
教材やテキストで読む気がしないところはさっさと飛ばし、読む気になれるところを読む。また、いきなりディテールをわかろうとするのではなく、目次や、ページタイトル、小見出しなどをざっくり読む。それが「基本」だと、宇都出さんは言う。
しかし、雑な読み方では理解が深まらないのではないか。
「ポイントは、飛ばし読み、かつ繰り返し読みをすることです。人間の脳には、知識・情報を一時的に蓄えるワーキングメモリ(作業記憶)があります。ただ、その“容量”には限りがあり、1度に多くの量は入りません。無理に詰め込もうとすると脳がフリーズ状態になります。また、その一時的な記憶は時間経過とともに薄れていきます。一気にそのパートを完璧に仕上げようと、気合を入れて長時間勉強してもムダが発生するのです。
一方、飛ばし読みは脳への負荷が低い割に、短期集中で一度目を通すだけで目次から全体の構成や骨格がわかり、見出しや本の中のキーワードからおおよその内容を把握することができます。文中の『要するに』『つまり』といった言葉で始まる段落を読むだけでも、そこまでの文の要旨をつかむこともできます。
そうやってストック(記憶)を少しずつ増やしながら、さらに、繰り返し読む。テキストの前に行ったり後ろに行ったりして何度も読むことで理解度は徐々に高まっていきます。ペンキを何層にも塗りこんでいくイメージです。これにより知識・情報がさらにしっかり記憶に定着することになるのです」
ブックサーフィンをする感覚で
1ページ目から順番に、じっくり精読しなければならない。学校教育の影響か、そうした作法に縛られてしまい、難しい内容であっても頑張って理解しようとする人は多い。しかし、前述したように、それでは途中で放り投げてしまうリスクがある。
宇都出さんの手法は、いわばネットサーフィンならぬ、ブックサーフィン。スマホでネット上の好きなジャンルの話題の記事を読むような「感覚」だ。これが勉強を始める際の重圧を大幅に軽減。すぐ勉強に取りかかれるので、時間ロスが減るのだ。