先んじて転んでも、起き上がればいい

──仕事にスピードが求められる今は、じっくり考える時間が取りづらい環境があります。

もちろん常に一歩先を行くのが商事会社ですから、いつまでも考えていてはダメです。ただ、話を聞いただけで反射的に突っ走るのはよくない。その前に周囲の状況を汲み取り、自分の頭で考えて動き出すほうが最終的に早く結果を出せるものです。

ポイントは考える時間をどう縮めるかですが、その鍵となるのが事前の準備です。特に人に会うときには入念に準備をする。準備ができていれば会話も深まり、理解も早まるので、決断までの時間は短くなります。

──社長ご自身は仕事の生産性を高めるために、特に努力や工夫をしてきたことはありますか。

私は、わかりやすい目標を設定することを心がけてきました。「成果を出す」ということはイコール「目標達成」ですから、目標がわかりやすいほど組織全体で共有しやすいわけです。私がジャムコという関連会社の社長に就任したときには売り上げ目標「500億」、配当目標「5円」、社員の賞与「5カ月」と、目標を「5」で統一しました。収益力が追い付かず苦戦していた時期だったので、あえてわかりやすい数値目標を設定したのです。結果、目標が社員に浸透し、見事に目標をクリアしました。その次に「7」で統一してみたら、それも達成した。こじつけでも、わかりやすい目標は、社員の力を引き出し生産性を上げるのに有効です。

個人的には「商社マンは語学ができなければ生きていけない」と思っていましたから、入社以来語学には力を注いできました。今もiPhoneに英語教材を入れて耳を慣らすことは継続的にしています。またビジネススクールに通って自分を磨くということもしてまいりました。