事務所は構えず、社員は自宅で仕事

そこで福田さんは定年の1年前から、検証業務を請け負う会社をつくることを会社に提案し、内諾を得る。そして設立したのが現在の会社だ。「最初から、継続して売り上げの見込める仕事があったことは大きいです」と福田さん。

いまでは、設備会社など数社のコンサルタントや技術顧問も引き受ける。また、電気を大量に使う病院関係のエネルギー削減のコンサルティングも担う。その際には補助金も活用するのだが、削減率設定の匙加減ひとつで申請が認められるかどうかが変わるだけに、福田さんは引っ張りだこだ。

福田さんが目標とするのが、同業でパートナーシップを組むエナジーデザインの寺島達成会長で、「2つ年上の70歳なのに徹夜の分析作業も厭わず、いつも刺激を受けています」という。また、会社には安東さんのほかにもう1人のメンバーがいるが、事務所は構えずに、おのおの自宅で仕事をしている。その距離感が小さな会社での円滑な人間関係を支えている。

49年生まれの福田さんは、まさに最後の“団塊の世代”だ。彼らの大半はすでに定年を迎え、現役時代より安い年収を我慢しての再雇用か、無聊をかこつリタイアの道へ進んでいる。そうしたなか、福田さんの会社は17年3月期の売上高が3200万円に達し、福田さんの日々の生活を十分に潤している。また、刺激のある仕事で病気になる暇などなく、まさに団塊世代の勝ち組といえるだろう。

【関連記事】
東電"トヨタ式カイゼン"は機能するのか
自然エネルギーが自然にやさしいという嘘
「蛍光灯からLED」でいくら節約できるか
60歳以降の収入が10倍以上になる働き方
なぜ高齢でも働ける人の幸福度は高いのか