そんなありさまやったので、仕事へのモチベーションは「まぁ嫌いではない。どちらかというと好きかも?」くらいのものです。
「この仕事の意義は?」「目的は?」なんて考えすぎずに、まずは状況を受け入れてみる。受け入れて、それなりに精いっぱいやってみて、ダメだったら次の手を考える。それくらいのほうがかえって気楽に働けるもんやと思います。
コツ2:組織に肩入れしすぎない、同調しすぎない
【奥田】組織で長く仕事をしていると、嫌な仕事や理不尽な仕打ちを受けることもありますよね。現在も長時間労働やパワハラで心を病む人が続出しています。そういうときは、どんなふうに対処すればよいと思いますか?
【中村】どんな仕事も、まずは受け入れてみることは大切やと思います。サラリーマンで組織から仕事を貰っている以上、自分の体に悪影響が出ない程度には、我慢することも必要やと思いますなあ。
でも一方で、まじめで気のやさしい人は「はいはい」と人のいうことを聞きすぎてしまうこともあります。患者さんの話を聞いていると、陰湿ないじめ、パワハラ、長時間労働……、聞いているだけでかわいそうになってくることがあります。
不思議なんやけど、そうやって職場で疲弊している人に限って「逃げたら負けだ」「自分にはここしかない」と悩んで、心身がボロボロになっていたりする。これは、ほんまによくないことですわ。人生で何より大切なのは、己の身。「ここは無理だ」と心底感じたら、さっさと逃げ出してもええんではないでしょうか。
【奥田】まずは自分の体と心の健康を優先して、その組織に甘んじて我慢するか、逃げ出すかを考えればよいということですね。
【中村】言葉は悪いかもしれへんけど、会社というのはしょせん金もうけの箱です。しかも、他人さんがつくった箱。よっぽどその会社で出世したいなら別やけど、どこまで働いても箱が自分のものになることはありませんし、自分の思いどおりになることもありません。
もちろん、「すべては自分のために」と納得してがんばってるならまったく問題ないんです。問題は、「会社のために」「上司のために」と変に肩入れしたり、「まわりもそうだから」と合わせすぎてしまうこと。そうやって無理をしていると、やっぱりどこかでおかしくなってしまう。私はこんなにがんばっているのに、なんでお前はがんばらんのやと他人に強くあたる、というのがその典型やろうか。