寄りかかりすぎない程度に頼れる相手を

【奥田】誰か一人でも、親しく信頼できる人が職場や、職場の外にいて、愚痴を言い合えれば楽になると言う事ですね。そんなよい関係の人を作るコツみたいなものは?

【中村】親しいっていっても、やっぱり距離感は大切やね。いくら親しくなったといっても、もたれあいが過ぎると、人間関係も破たんしやすくなってしまうわな。私は、人はどこまでいっても一人。一人で生まれ、最後は一人で死んでいくもんやと思っています。

中村恒子・奥田弘美(著)『心に折り合いをつけて うまいことやる習慣』(すばる舎)

たとえ親友でも、親子でも、決して踏み越えてはならん一線がありますわ。自分は自分、人は人。その線引きをきちんとしておいて、おのおの別々の人生を生きているんやということを心得ながら付き合っていくのがコツやと思います。

仲がよくても、距離が近くても寄りかかりすぎず、たま~にグチを言って、「こうやって話を聞いてくれる人がいるのはありがたいなぁ」と思って、人に感謝をする。そうすると、人に過剰な期待を持たずにすみますし、依存しすぎて関係がこじれることもありません。

今そういう場所がないんなら、少し交友関係を広げるとかして、心を開ける人を探していけばええと思います。世界は広いから、きっとどこかに気が合う人がいるはずです。

(*注1)2017年7月まで週6フルタイム勤務を続け、8月からようやく週4になった。
(*注2)戦時中は、男性医師が駆り出されていたために極端な医師不足に。1943年に戦時非常措置として「女子医科専門学校」が設立された。

中村 恒子(なかむら・つねこ)
精神科医
1929年生まれ。1945年6月、終戦の2か月前に医師になるために広島県尾道市から一人で大阪へ、混乱の時代に精神科医となる。二人の子どもの子育てを並行しながら勤務医として働き、2017年7月(88歳)まで、週6日フルタイムで外来・病棟診療を続けてきた(8月から週4日のフルタイム勤務に)。「いつお迎えが来ても悔いなし」の心境にて、生涯現役医師を続けている。
奥田弘美(おくだ・ひろみ)
精神科医 産業医
1967年生まれ。約20年前に中村恒子医師に出会ったことをきっかけに、内科医から精神科医に転向。現在は都内にて診療、および産業医として日々働く人の心身のケアに取り組んでいる。執筆活動も精力的に行い「一分間どこでもマインドフルネス」(日本医療情報マネジメントセンター)など著書多数。今回、念願であった恩師・中村氏の金言と生きざまを「心に折り合いをつけて うまいことやる習慣」(すばる舎)にまとめて出版した。
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