離婚をきっかけに「妻」から「家政婦」に変わる
驚くことに雪乃さんが望んでいるのは離婚をきっかけに「妻」から「家政婦」に変わることでした。今まで夫のためにしてきた家事は「妻だから無償」でしたが、離婚後は「家政婦だから有償」です。離婚後、夫からサービス料(料理、洗濯、掃除)として毎月8万円をもらう“契約”をしたそうです。息子さんに配慮して、別居離婚ではなく「同居離婚」という形を取る夫婦もありますが、雪乃さんはこれ以上同居を続けられないほど精神的に追い詰められていました。
夫は雪乃さんに向かって「お前とは面と向かって話したくない!」と言い切り、目の前にいるのにメールで用件を伝えることさえあるそうです。珍しく口を開いたかと思うと、口から出てくるのは「ただの同居人だ」「自分にはもっとふさわしい人がいる」「誰のおかげでメシを食えていると思っているんだ」といった暴言ばかり。
金銭的にも雪乃さんはギリギリでした。離婚前、夫から毎月20万円の生活費を渡され、家計を任されていました。収支はぎりぎり赤字にならない程度で余裕はなく、ほとんど貯金はできません。以前から「息子の大学の資金を蓄えたい」と危機感を覚え、何度もパートタイマーの仕事を始めようとしたのですが、夫は「そんな必要はない」と連呼するのみ。家計が苦しいのは自分(夫)の給料が低いからではなく、妻の家計のやりくりが悪いと言わんばかりでした。
▼「俺の稼いだ金を勝手に使うな!」とメールを送ってくる
雪乃さんが精神的に追い詰められ離婚を決意した要因は、夫のネチネチした管理体制でした。夫は以前から毎日買い物レシートや通帳をチェックし、節約の余地がある項目にバツ印を書き入れます。家計簿は自宅のテーブルに置いてあり、締め付けがとても強かったため、雪乃さんはいつもビクビクして動悸が止まらなかったそうです。
最近では家族共用のパソコンの閲覧履歴からネットショッピングの注文内容を調べあげ、「俺の稼いだ金を勝手に使うな!」とメールを送ってきたそうです。さらに、「俺は仕事をせず、家を守り、子育てをする……普通の奥さんがほしいんだ」と言い出す始末です。
雪乃さんと夫は正反対の性格でした。
雪乃さんは、少し天然キャラなところがありました。だから、夫婦仲を修復すべく話し合おうとしたり、生活苦を解消すべくパート収入を得ようとしたりしました。一方、夫は日々の感情のブレが大きく、ケチで狭量で几帳面でした。夫婦間のやり取りをメールに限定し、収入増ではなく支出減をしつこく迫り、精神的・金銭的な攻撃を加えました。