家庭内の軋轢が「セカンドハウス通い妻」を量産する
現在、雪乃さんは働いていません。無収入の非親権者(雪乃さん)が親権者(夫)に対して養育費を支払うことはできません。だから、未成年の子と同居している親権者(夫)が子供にかかる費用をすべて負担することになります。そうすれば、ようやく夫はありのままの現実(これ以上の節約は事実上不可能で、近い将来、月20万円の家計費では足りなくなる)を直視するでしょう。その時、夫は初めて、質素倹約に努めてくれた雪乃さんの存在の有り難みを味わうことになるのです。
雪乃さんはプリザーブドフラワーが趣味で、腕前はプロ並みということです。そこで、別居先の部屋ではフラワー教室を開くことにしました。雪乃さんはようやく念願だった自分の収入を得ることができるのです。
こうして家族3人が望むこと、つまり、夫の「家事放棄(妻に丸投げ)」、子の「母の存在」、妻の「仕事開始」を何とか実現させました。雪乃さんは言います。
「あと2、3年で息子も自分のことができるようになるので、息子が私のことが必要なくなれば、私も家政婦をやめようと思っています。もちろん、自分の意思で私のところへ来るのなら受け入れるつもりです。どちらにせよ近いうちに夫との関係を完全に断てるので」
夫はまだ「妻に逃げられた」という現実に向き合っていないようです。「(フラワー教室で)いくら稼いでいるんだ! 稼ぎが増えたら8万は減らせよな!」とメールを送り付けてきたり、自宅のリビングテーブルにレシートの束(息子さんにかかった費用)を散乱せたりして、嫌がらせを続けているそうです。そろそろ改心してもよさそうなものですが……。
以上、「セカンドハウス通い妻」を実現した3人の女性を紹介しました。
さまざまな事情でセカンドハウスが必要となった女性たちの人生。これらは決してひとごとではありません。夫婦関係、親子関係、嫁姑・嫁舅関係、親の介護、家族の健康状態……。こうした日常にトラブルが発生する可能性はどの家庭にもあります。そして結果的に、力の弱い者(主に妻)にしわ寄せがくるのです。