「国の歳入歳出」を「家計の収入支出」に例えるのは間違い

ものさしの使い方は非常にセンシティブで、誤解を生むこともあります。よく国の借金が家計に例えられますが、よく考えれば国の歳入歳出と、家計はまったく違う性質のもの。あまりに物事を単純化してしまって、事実からズレた認識を抱いてしまうこともあるのです。

また、あえて誤解を誘う人もいます。本来無関係な出来事をあなたにとっての切実な問題にしてみせたり、相場とは違うおカネを、身近なリアリティがあるようゴマカして払わせたり。一種の詐欺や、詐欺まがいのビジネスでも同じように、巧妙に「心のものさし」を歪ませて、判断させる方法が取られるのです。

「心のものさし」を正しく使う、つまり常識的な判断をしたり、人にだまされないためにはどうすればいいか。それは、物事を見るときに、具体化と抽象化を繰り返し、他者や出来事への理解力を鍛えること。つまり教育と学習によって可能になります。

竹村和久
早稲田大学文学学術院教授
著書に『行動意思決定論―経済行動の心理学』『経済心理学―行動経済学の心理的基礎』など。
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(構成=伊藤達也 写真=iStock.com)