「ゼロからスタート」で新党を立ち上げた

【塩田】その後、希望の党と旧民進党がなぜ合流するという流れになったのですか。

【玉木】今年の通常国会が始まる前、民進党から「統一会派を」という提案があり、われわれも真摯に検討したのですが、民進党の両院議員総会で了承を得られず、挫折した。

合流の契機は政権打倒の動きです。森友学園に関する財務省の決裁文書改ざん問題、防衛省のイラク派遣の活動日報問題、厚生労働省の裁量労働制に関するデータの不備の問題、加計問題をめぐる首相秘書官の関係者との面会記録問題、財務省の福田淳一前事務次官の問題など、さまざまなものが出てきた。そんなことを許さないために、政権は打倒しなければならない。ところが、倒した後の受け皿となる野党側は、去年の総選挙でばらばらになり、野党第一党の旧民進党は三分四裂した。この状況を放置するのは国民に申し訳ないし、日本の民主主義にとってもよくない。自民党に代わって政権を担える塊をどうやってつくるか、過去の経緯を乗り越えて真剣に考えなければならない。「民主党、民進党に先祖返り」と揶揄されることも多かったのですが、民主党政権3年3カ月に対する批判もしっかり受け止めた上で、「ゼロからスタート」という気持ちで新党を旗揚げしました。

私は2大政党論者で、もう一度、自民党に対抗する大きな軸を作りたいという考えです。しかも左右に大きく離れた2大政党ではなく、両方ともある程度、真ん中に寄って、変化があっても国民生活に心配を与えないような安心感をつくる。その中で政権交代が起こる形を目指しています。ですが、希望の党の発足メンバーの中には、場合によっては今の自民党と連立を組んでもいいという発想の方もいました。

【塩田】国民民主党は、大塚耕平さん(元民進党代表)との「2人共同代表」でスタートしました。9月の代表選挙で単独代表を選出するまでの暫定的な指導体制ですか。

【玉木】9月の代表選では代表を1人選びます。党員・サポーターも入れて決めますが、結党時は共同代表を置くことができるという規定があります。衆議院議員の私が衆議院、参議院議員の大塚さんが参議院を担当する。役割分担しながら、今はうまく回っています。ただ共同代表は結党時の例外的な措置で、原則は代表選による単独代表です。

【塩田】9月の代表選に挑戦しますか。

【玉木】仲間と相談して決めたいと思っています。

【塩田】昨年の総選挙で、希望の党から出馬して落選した旧民進党の前・元議員の所属・処遇が総選挙後、宙ぶらりんのままで、対応に苦慮している人も少なくないようです。

【玉木】今、声をかけさせてもらっています。次も挑戦したい方は、一日も早くわが党で総支部長に任命し、月額50万円くらいの活動資金を出せるようにしていきたい。ですが、現職議員同様、地元の地方議員や関連の支援組織との関係で、立憲民主党と国民民主党の両方から応援を得たいと思っている人もいます。どちらにも入らず、当面、無所属で、と選択する人もいます。しかし、どうしても活動が限定される。力も付けにくい。本部レベルで立憲民主党ともよく調整したいと思います。

【塩田】馬淵澄夫さん(元民進党選対委員長)が落選仲間の声を汲み上げて「一丸の会」を結成し、国民民主党、立憲民主党の3グループの結集を視野に活動を開始しています。

【玉木】馬淵さんとは緊密にやっています。