7年間ずっと黒字。生徒は約300人、講師は120人

【田原】いま塾は何人ですか。

【安田】校舎は東京に3校、神奈川と大阪に1校ずつで、計5校です。生徒は約300人。それに対して、アルバイトも含めて講師は120人体制でやっています。

【田原】利益は出ていますか。

【安田】売り上げの約7割が塾で、学校や行政から受託する仕事もあって、創業から7年ずっと黒字です。

【田原】行政の仕事って?

【安田】足立区では、低所得世帯の一人親世帯の家庭に訪問して、子どもの学習を見ています。新宿区では、引きこもりの方の就労支援です。

【田原】ほかにはいかがですか?

【安田】最近始めたのが、発達障害の人を活用するための企業研修。かつて僕が入社した商社のように、尖った人材を採用して組織を活性化させたい会社は多いんです。しかし、採用しても定着しなかったり、使いこなせていないのが現実。それはもったいないので、企業に向けてマネジメントのアドバイスをしています。

【田原】具体的にはどうすればいい?

【安田】従来は個が組織に合わせるマネジメントでした。でも、発達障害に限らず、若い人たちは「個人の夢」を持ちましょうと言われて育ってきた世代だから、組織が個に合わせるように転換していかなければうまくいきません。たとえばうちには朝が弱くて11時より前には出社できないという社員がいますが、彼とのミーティングは11時以降にしています。もちろん会社に合わせてもらわなくてはいけない場面はありますが、そうでないところは個に合わせる。そのほうが個のパフォーマンスが上がっていいじゃないですか。

【田原】いいね。僕もそう思います。

【安田】もう1つ、この秋か冬にうつと発達障害の方向けのビジネススクールを開く予定です。いずれにしても、うつや発達障害の人が社会復帰できないのは、社会にとって大きな損失。いままで社会から零れ落ちていた人たちが社会できちんと価値を発揮できるように、これからもそのお手伝いをしていきたいです。

安田さんから田原さんへの質問

Q. 希望の進路が叶わなかったとき、どうしましたか?

僕は就職するとき大手マスコミを受けたけど、軒並み落ちました。それでようやく入社したのが、当時“三流局”と言われていた東京12チャンネル(現テレビ東京)。普通ならガッカリするのかもしれないけど、僕はノーテンキだから自由でいいやと思った。実際、他局ならボツになる企画も、スポンサーを自分で見つけてくればやらせてもらえました。

ただ、原発反対の取材をしたら、電通が怒ってスポンサーを降りると言い出した。テレ東の首脳部は弱くて、「番組をやめるか、会社を辞めるか」と僕に迫った。そのとき会社を辞める決断ができたのも、テレ東の給料が安かったから(笑)。その点でも結果オーライ。どんな道でも、いいところはあるんです。

田原総一朗の遺言:どんな道にも、いいところがある

(構成=村上 敬 撮影=松本昇大)
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