10代を中心に、若者に人気の高まる「チャット小説」。アプリで読まれた小説を単語単位で解析し、次の作品づくりに生かすという。弱冠22歳で起業した、気鋭の経営者の描く未来とは――。
中学生の時、「ホームページをつくります」と電話営業した
【田原】久保田さんは名古屋の生まれですね。幼いころはお祖母さんに育てられたとか。
【久保田】僕、実の父親に会ったことがないんです。両親が離婚したあとは母方の祖母に育てられました。小学校に上がるくらいに母親が再婚。新しい父の養子として籍を入れて、久保田という名字になりました。
【田原】中学生のころから働いていたそうですね。どういうことですか。
【久保田】僕はずっと、養父が実の父親だと教えられて育ちました。そうではないと知ったのが中2のとき。本当のことを知ってから両親に反発して、高校生になったら1人暮らしをしようと決めました。そのためにはお金が必要で、自分で稼ぐしかないなと。
【田原】お母さん、お義父さんとうまくいかなかったのですか。
【久保田】僕が素直になれていなかったのでしょう。当時は反発する気持ちがすごく強くて、とにかく家から出たいと思っていました。
【田原】稼ぐといっても中学生じゃ難しいでしょう。
【久保田】最初は株や為替に手を出そうとしました。でも、中学生の貯金じゃ儲けはたかが知れている。何をやるにも元手が必要だと思って、ホームページの受託制作を始めました。愛知にはトヨタの下請け、孫請けの工場をはじめ製造業の会社がたくさんあるのですが、東京のようにITに力を入れている会社は多くない。ホームページも持っていない会社がたくさんありました。そうした企業に「ホームページをつくります」と電話で営業して仕事を取りました。