本、ゲーム、音楽……、多エンタメに応用

【田原】このアプリは無料です。どうやって稼ぐの?

【久保田】プロの作品は読むのに「スタミナ」を必要とします。最初は無料で読めますが、途中でスタミナが切れたら読めなくなります。スタミナはしばらくすると回復しますが、早く回復させたい人は動画広告を再生するか、有料会員になるかを選べるようにしています。

【田原】いま競合の会社はどのくらいありますか。

【久保田】チャット小説サイトはアメリカ発で、グローバルではかなりの数があります。国内では現在10社ほど。「Balloon」は作家とユーザーがコミュニケーションできる機能が強みで、ユーザー同士のコミュニティーがつくられています。ユーザー数は国内二番手ですが、ユーザーが活発に投稿してくれるので、作品数は一番多くなっています。

【田原】1つ聞きたい。10年前のケータイ小説は大ブームになりましたが、もう消えてしまった。これからチャット小説に火がついたとしても、一過性のブームで終わる可能性もありますよね?

【久保田】もちろんスマホがいまの形でなくなったら、チャット小説も淘汰されるリスクはあります。ただ、時代によってフォーマットが変わるのは当たり前。僕たちの強みは、おもしろいコンテンツをつくるためのデータを収集し、分析・蓄積している点です。そこがしっかりできればおもしろいものを提供し続けられると考えています。

【田原】そうか。形はチャット小説じゃなくていいんだ!

【久保田】はい。実際、いまテレビ局や出版社、ゲーム会社、音楽会社と組んでコンテンツをつくる話も進んでいます。アーティストと組んで、10代の女の子に響く歌詞をつくるお手伝いもできる。小説に限らず幅広くコンテンツづくりに関わっていきたいです。

久保田さんから田原さんへの質問

Q. 書き手としてやりがいを感じるのは、どんな瞬間?

書き手として一番うれしいのは、本が売れることです。べつにお金が入るからうれしいわけじゃない。売れたということは、多くの人が手にとってくれたということ。書き手にとって、それに勝る喜びはないんじゃないかな。

テレビ番組も同じです。『朝まで生テレビ!』が31年続いているのも、毎回、視聴率やFAX、SNSの投稿を気にしているから。僕は番組が終わると、ツイッターの書き込みを必ず読んでいます。それを見て、「次はこうしよう」とやるから、いまも視聴者が関心を持ってくれる。ちなみに直近の回は、視聴率2.5%でした。これは人数でいうと約100万人。多くの視聴者に届いていると思うと、僕も気合が入ります。

田原総一朗の遺言:多くの人が見るものに価値がある

(構成=村上 敬 撮影=枦木 功)
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