元日など年に3日程度の店休日を設ける方針

営業時間を短縮すれば、減った分の時間帯の売り上げはなくなってしまうが、浮いた経費を客数が多いランチ・ディナータイムの増員経費に充てることで、1日単位の売り上げの減少を最小限に抑える算段だった。実際、営業時間短縮による売り上げへの影響は限定的だったようで、17年の営業時間は前年から1.3時間少ない15.5時間にまで短縮したが、先述した通り、17年の既存店売上高は前年から2%増えている。

また、受動喫煙の防止の観点から、09年より一部店舗に喫煙ルームを設置して分煙化を実施した。13年11月からは全店で全席禁煙を導入。女性客や家族連れ客を中心に、タバコを嫌う人の取り込みを図った。

今年からは、元日など年に3日程度の店休日を設ける方針を打ち出している。さまざまな業種で人手不足の傾向が強まるなか、働きやすい職場にすることで人材確保につなげるほか、従業員のやる気を向上させることで来客数と客単価を上げる考えだ。ファミレス業界では異例の対応といえるだろう。

生産性を高める実験店をオープン

ロイホ運営会社のロイヤルHDは、店舗のIT化も進めている。2020年度までの3年間で、35億円のIT投資を実施する考えだ。店員の業務負担の軽減や生産性の向上を目的に、皿洗いロボットや清掃ロボット、高機能の調理器の研究開発などを行うという。

店舗の生産性を高める実証実験も始めた。17年11月にキャッシュレスのレストラン「GATHERING TABLE PANTRY 馬喰町店」を都内にオープン。支払いをクレジットカードと電子マネーに限定し、現金の授受をなくすことで会計の手間を省く狙いがある。注文はタブレットで受け付け、注文を受ける手間も省いている。

GATHERING TABLE PANTRY 馬喰町店(画像提供=ロイヤルホールディングス)

今年3月には、新たに開業した東京ミッドタウン日比谷内に、ロボットが配膳するカフェ「Q CAFE by Royal Garden Cafe」をオープンした。一部客席では、人や障害物をセンサーで感知する配膳ロボットが商品を届ける。備え付けのタブレットや客のスマホで注文を受け付ける席もある。いずれも、店員の作業負担を減らすための施策だ。

ロイヤルHDの取り組みは、ファミレス業界の中ではいずれも先進的だ。こうした取り組みが既存店売上高の増加につながったと考えられる。また、未来に対する投資もしっかり行っている。今後のさらなる成長が期待できるのではないだろうか。

佐藤 昌司(さとう・まさし)
店舗経営コンサルタント
立教大学社会学部卒業。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。店舗型ビジネスの専門家として、集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供している。
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