ミシュラン星付きレストランと同じ高品質パスタを投入

11年からは、メニューの抜本的な改革を断行。「コックが作る家庭では味わえない」料理を目指した。「低価格だが味はそれなり」というイメージが定着したファミレス業界の中で、商品の品質を高める戦略に打って出たのだ。

まず11年に、「新 パスタ宣言」を打ち出し、イタリアのミシュラン星付きレストランでも使われる高品質パスタ「ヴェリーニ」を使ったパスタメニュー4品を880~1080円(税別、以下同)で発売した。ヴェリーニはイタリア最高級の小麦粉と山の湧き水で作られたパスタ麺で、110年以上の歴史を誇る。この麺を使ったパスタは人気を博し、現在もロイホの看板メニューとして、やや高めの980~1280円で販売されている。

ヴェリーニを使用した現行メニュー「イタリア産生ハムとフレッシュトマトのスパゲティ」(画像提供=ロイヤルホールディングス)

厳選した牛肉で高品質なステーキを提供

12年には、ステーキをグレードアップした。この年に発売された「熟成アンガスリブロースステーキ」(230グラム/1980円)に使われているアンガスビーフは、アメリカでのアンガスビーフの認定制度でも2割程度しか認められない厳しい品質基準をクリアした、選びぬかれた肉だ。店舗に到着するまでブロックの状態で約40日間熟成させ、店舗でカットして調理することで、うま味を逃さない工夫が施されていた。

ロイヤルアンガスサーロインステーキ225g(画像提供=ロイヤルホールディングス)

現在もロイホのステーキメニューでは、この高品質なアンガスビーフを使用している。最もオーソドックスな「ロイヤルアンガスサーロインステーキ」(225グラム)の価格は2480円とかなり高額だ。提供時に使われる皿は、オリジナルの美濃焼ステーキ皿で、販売の力の入れ方がよくわかる。

こうした改革は功を奏し、下落傾向が続いていた客単価は増加に転じた。メニュー改革を行った11年以降、客単価は17年まで7年連続で前年を上回った。18年も1~5月のすべての月で前年同月を上回っている。景気回復の兆しが見えるなか、「多少高くてもおいしいものを食べたい」という人たちを取り込むことに成功し、売上高の向上につながったのだ。

店舗運営面でも改革を進めた。深夜客が減ったため、深夜営業を行わない店舗を段階的に増やした。09年には全店舗の2割強にあたる65店で24時間営業を実施していたが、13年に21店にまで減らし、17年1月にはすべての店舗で取りやめた。また、11年には営業時間を短縮する方針を宣言。この年の1日あたり平均営業時間は18.5時間だったが、17年には15.5時間にまで短縮した。