弁護士「親や代理人の同伴は最初から認めるべき」

女性から相談を受けている山本裕夫弁護士は「早大の対応は配慮が足りない」と指摘する。

「そもそも彼女の退学理由はハラスメントなのに、『中退をされた場合には、申立をお受けできない場合もあります』という対応は不誠実です。在籍中に声をあげられなかった人もいるはずで、そういった声こそ取り上げるべきではないのでしょうか」

「またハラスメントを受けたという忌まわしい記憶がある場所に、しかも本人ひとりで、書類を持ってこさせるという行為も配慮が足りない。親や代理人の同伴は最初から認めるべきで、書類の提出も本人である必要はないはずです」

「早稲田文学 2018年初夏号」(筑摩書房)。表紙には渡部直己・早大教授(右から2人目)が写っている。

女性はハラスメントを受けた後、大学院を中退している。当初は中退するつもりはなかったという。

「卒業できるんですか(笑)」

「ハラスメントを受けた後、指導教官を変更してもらったのですが、1人でキャンパスを歩いているときに渡部教授に出くわしました。そのとき渡部教授から、笑いながら、『卒業できるんですか。単位は大丈夫なんですか。まあ頑張ってください』と言われました。その言葉が威圧的に感じられ、それから1人で学校に行くことに恐怖を感じるようになりました」

「また、ハラスメントを相談した男性教授から、反対に口止めを受けたことから、このコースに不信感を抱き、最終的には学校に行くことができなくなりました」

女性はまだ渡部教授から謝罪を受けていない。渡部教授は「彼女に対して申し訳ないと思っていますが、廊下で会ったのが最後で、その時に謝罪をしそびれてしまいました。その時私が笑っていたのには別の理由があります」と話す。