ユニーの運営するスーパー「アピタ」や「ピアゴ」が、次々と「メガドンキ」に変身している。経営不振の総合スーパーを立て直すために、ドンキの力を借りたのだ。店名にはユニーの名前は残っているが、その中身は“ほぼドンキ”だ。流通アナリストの渡辺広明氏は「平成の30年間で総合スーパーは衰退した。ユニーのドンキ化には、業態としての限界が現れている」と分析する――。
MEGAドン・キホーテUNY大口店(著者撮影)

ドンキに活路を求めたユニー

ユニーが運営するスーパーマーケット「アピタ」「ピアゴ」が、次々と「ドン・キホーテ」に変身している。2017年11月にユニー・ファミリーマートHDとドンキホーテホールディングスが資本・業務提携をし、ユニーの既存6店舗が「MEGAドン・キホーテUNY」としてリニューアルしたのだ。

GMS(General Merchandise Store/総合スーパーマーケット)は、苦境に立たされている。現在も残るイオンやダイエー、イトーヨーカドーのほか、平成の初めには、マイカル、サティ、ニチイ、長崎屋など多くのGMSがひしめきあい、小売業界で栄華を極めていた。ユニーとドン・キホーテの提携には、かつては小売業の雄であったGMSの苦戦が如実に表れている。

家電が復活した売り場

リニューアル1号店となったのは、JR横浜線・大口駅(神奈川県横浜市)駅前にあったピアゴ大口店。今年2月23日に「MEGAドン・キホーテUNY大口店」としてリニューアルした店内には、旧ピアゴでは取り扱っていなかった家電や玩具などが並ぶ。これらは、GMSの多くが販売不振で取り扱いをやめた商品カテゴリーだ。展開する商品数は、リニューアル前と比較して20%増の7万アイテムとなった。これまでユニーグループ店の商品構成は食品70%、非食品30%だったが、「MEGAドン・キホーテUNY」では食品50%、非食品50%になるという。

店名には「ユニー」の名が入っているものの、店内の様子はほぼドンキ流だ。ドンキの売りである「驚安」を押し出した陳列棚に、おなじみのカラフルなPOPがぶらさがっている。ユニーが仕入れを担当する青果・鮮魚・精肉・惣菜のコーナーの品ぞろえと、それらの売り場を担当する年配の従業員だけがユニーのカラーを残している程度だ。

この数年、ユニーグループのGMSの既存店売上高は、昨年冬の野菜価格高騰時など特殊要因を除くと、前年比で100%を越えることはなかなかなく、96~99%の間を行き来していた。浮上の道筋はなかなか見えず、16年9月のファミリーマートとの経営統合を機に、不採算店25店舗を閉鎖している。そして昨年11月、ドンキホーテHDがユニーの発行済み株式の40%を取得。GMS再建に乗り出した。

今のところ、ドンキとのダブルネーム店舗は好調だ。リニューアルした6店舗の3~4月売上は前年比2.2倍、客数は1.9倍になった。今までGMSと距離をおいていた若年層を、ドンキブランドと品ぞろえの幅広さで引き寄せた結果といえるだろう。ユニーは今後、既存店でもドンキ流の売り場改革を進める考えを明らかにしている。