これからビジネスマンはどう変わるべきか。「プレジデント」(2018年4月30日号)では、特集「いる社員、いらない社員」で、大企業のトップ29人に「人材論」を聞いた。今回は、全国銀行協会会長で、みずほ銀行の藤原弘治頭取のインタビューをお届けしよう――。

3行あわせて今後約10年で約3万人分の業務・人員を削減

メガバンク3行は2017年、単純な作業をコンピュータに処理させて自動化するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)や、AIの導入などに伴う、人員・業務量削減計画を相次いで発表した。3行あわせて今後約10年で約3万人分の業務・人員を削減する方針だ。4月に全国銀行協会(全銀協)会長に就いた、みずほ銀行の藤原弘治頭取は全国の銀行員に何を伝えたいのか。

――日本の銀行を取り巻く環境をどのように見ていますか。

銀行だけでなくあらゆる産業が大きな転換期・変革期を迎えています。グローバル化と同時に、世界では自国主義、保護主義、右傾化のうねりが起こりつつあります。日本国内では、中央銀行による金融政策の影響のみならず、少子高齢化、人手不足などの構造的問題も抱えています。

全国銀行協会会長 みずほ銀行頭取 藤原弘治氏

そこに新たに登場してきたのが、AIやRPA、仮想通貨で使う「ブロックチェーン(分散台帳技術)」などのデジタルテクノロジー革命です。これらの新技術は問題を解決するツールにもなると同時に脅威にもなりうるでしょう。深刻化する人手不足を解消する一方、人間の働き方を根本から変えていくはずです。

複雑な要素が絡み合うなか、私たち銀行が今後求められる役割は、従来通りの金融仲介機能だけではなく、個人や企業が抱える問題を解決する情報仲介機能、コンサルティング機能になるでしょう。銀行としての伝統業務にとどまらない付加価値を提供していく必要があります。

――銀行における非伝統業務とは。

非連続的な発想で新世代のビジネスモデルをつくることです。たとえば17年、みずほ銀行はソフトバンクと合弁会社「Jスコア」を設立しました。AIを駆使し、個人のライフスタイルを分析し、さまざまな角度から融資希望者の信用度や将来性を数値化します。スマホ1台で申請でき、30~40代サラリーマンに人気です。

また、みずほ銀行ではRPAの導入により、これまで人手に頼ってきた膨大なバックヤード業務のうち、100業務、約30万時間相当の業務量を削減できるめどが立ちました。抜本的な業務効率化で、顧客へのサービス向上や、新ビジネス創出へリソースを向けられるようになります。