相場が下がるときに毎月分配型を買ってはいけない

運用の目的によっては、毎月分配型の投資信託も選択肢になり得ます。問題は、多くの人が毎月分配型投資信託の選び方を間違えていることです。

福田猛『投資信託 失敗の教訓』(プレジデント社)

毎月分配型の投資信託の選び方は、ただ1つだけです。まず、投資対象を見ます。そして、投資対象の価格が未来に向かって上がるのか下がるのかを予想します。上がると考えるなら購入してもいいのですが、下がると考えるなら購入してはいけません。その理由は、毎月分配型投資信託は、すべてフル投資型投資信託だからです。

フル投資型というのは、常に100%の資金を投資対象に振り向けているということです。日本株の投資信託であれば、運用担当者であるファンドマネージャーは、投資家から預かった資金を常に100%日本株で運用しています。これがフル投資型です。

すると、相場が上がっているときはいいのですが、下がっているときは投資信託の価格も下がります。2012年以降、アベノミクスで日経平均株価は1万円から2万円に上がりました。このような時期は、毎月分配型でもいいのです。なぜなら価格が2倍になっている投資対象にフル投資をしていますから、増えた部分から分配金を支払うことができます。投資信託の価格も下がりません。

日経平均株価はその後、約2万800円まで上昇して、以降は約1万5000円まで落ち込みました。このときもフル投資です。株価が下がれば投資信託の価格も下がります。そんな状況で元本を削りながら分配金を支払えば、さらに投資信託の価格は下がります。こういう時期に毎月分配型の投資信託を買ってはいけないのです。

このように、毎月分配型の投資信託を購入するときには未来の予想が必要です。では、未来を予想することはできるのでしょうか。不可能とは言い切れませんが、極めて難しいのは確かです。

2016年の米国の大統領選で、トランプ氏が当選すると誰が予測したでしょうか。あらゆる専門家が「トランプはあり得ない」と言っていたはずです。これは予想を外した専門家が悪いのではなく、予想とは外れるものなのです。一般の人が予想するよりも専門家が予想したほうが当たる確率は少しだけ上がりますが、ただそれだけのことです。