「新商品」と「人気商品」は買ってはいけない

中国株の事例は一例にすぎません。ポイントは、新商品と人気商品には、注意が必要だという教訓です。新商品とは何かと言えば、「企業が売れると思って作る新しい商品」のことです。どの業界でもそうですよね。

福田猛『投資信託 失敗の教訓』(プレジデント社)

では、何を根拠に売れると思うのか。企業は市場調査(マーケティング)を行います。たとえば、2007年当時に100人の投資家にアンケートを採ったとします。「もしいま、あなたが投資するなら何に投資しますか」という質問だったらどうでしょう。

多くの人は、中国株にチェックを入れるはずです。毎日のように新聞やテレビで中国の経済発展のニュースが出ていて、話題沸騰だったからです。そんなタイミングで、中国株で運用する投資信託を設定すれば飛ぶように売れます。

しかし、冷静に考えていただくとどうでしょうか。投資の世界で、みんなが良いと言っているものを後から買うことほど危ない話はないですよね。すでに価格には織り込まれていて、後は下がってしまう可能性が高まります。

人気商品はさらに注意が必要です。人気とは、=みんなが買っている、ということです。みんなが買っている投資対象を後から買うことほど危険なことはありません。投資の世界の鉄則です。「人気がある」という時点で価格は上がっているはずですから、後は下がるケースが多いのです。金融機関からテーマ型で「これは人気です」と言われたら、=危ない商品だ、と思わなければならないのです。

最近で言えば、AI関連のファンドが数多く発売されています。事実、日本中で売れています。AIの市場がこれからどんどん拡大していくことは、誰が見ても間違いないでしょう。AI業界が拡大するからAI関連企業の株価も同じように上昇していくと思いがちです。

しかし、AI業界が拡大することと、AI関連企業の株価が上がるということは、関係がありません。AI関連企業と言えば、世界中に何万社もあります。新規参入も激しい業界です。

それらの企業がAI関連というだけで株価が上昇しています。赤字にもかかわらず、株価が上がっているところもあります。割高に評価されている企業が多いことでしょう。AI関連企業は今後、淘汰されていくはずです。そのときに株価が暴落する企業も多いはずなのです。

さらに、投資信託に組み入れている銘柄にも問題があります。AI関連として人気のあるファンドの中身を見ると、トップ10にトヨタ自動車が入っていたりします。トヨタ自動車をAI関連企業と言うなら、大企業ならだいたいAI関連になってしまうでしょう。

写真=iStock.com/metamorworks

確かに、トヨタ自動車もAI関連の開発をしています。しかし、その分野で利益が出るところまではいっていません。AI関連とアピールしたほうが投資信託は売れますから、金融機関はそう言っているのです。つまり、AIとつくだけで株価が割高になっている企業や、実際に売上の5%も占めていないような企業をAI関連企業と呼んで投資をするのはどうかと思うのです。

さて、冒頭に登場した田中さんは、テーマ型投資信託の仕組みをしっかりと理解し、話題性で投資対象を選択することがなくなりました。シェール革命関連ファンド以降も、AI、IOT、自動運転、オリンピックと、さまざまなテーマ型ファンドが人気化していますが、今ではそうした投資対象は「もう気にならない」とのことです。

福田猛(ふくだ・たけし)
ファイナンシャルスタンダード株式会社 代表取締役
大手証券会社を経て、2012年に金融機関から独立した立場で資産運用のアドバイスを行うIFA法人ファイナンシャルスタンダード株式会社を設立。資産形成・資産運用アドバイザーとして活躍中。2015年楽天証券IFAサミットにて独立系アドバイザーとして総合1位を受賞。著書に『金融機関が教えてくれない 本当に買うべき投資信託』(幻冬舎)がある。