追加の養育費「払え払わぬ」大攻防戦、勃発
達也さんが「進学を考えていたとは知らなかった」と言うと、元妻はこうまくしたてたそうです。
「は? 優愛の大学のことで電話したのに出なかったクセに! 私からの話は聞かず、自分の話だけ聞けって勝手すぎるよね? なんで電話に出ないの? 逃げるの? 奨学金のこととか話したかったのに。いつも自分が不利になると逃げるよね?」
どう考えてもこれは元妻のでっち上げでした。そんな電話は1本もありませんでしたし、メールや手紙も受け取っていませんでした。
ただ、行政書士で男女問題研究家である私は、達也さんが残した養育費の公正証書の支払条件(金額:月4万円、期間:満20歳に達する翌年の3月までの計96万円)を確認して、こう言いました。
「支払いは『満20歳に達する翌年の3月まで』と書いてあるから、期間を縮められたりすることはないと思い込んだのでしょうね。でも、法律上(民法880条)、養育費は事情変更を理由に見直すことは認められています。今回の場合、娘さんはすでに就職し、自立していることを理由に養育費を停止することもできる。つまり、約束した金額を約束した期間の最終回まで全額もらい続けることが保証されているわけではないのです」
▼追加の養育費は長女の成人式の費用だという元妻
今後、長女が会社で働きながら受験勉強に取り組む可能性はあるでしょう。ただ現在、長女は1人の社会人であり会社員という立場です。大学を受験し、合格した時点で養育費を復活させるかどうかを検討しても遅くはありません。
仮に、長女がいつ大学を受験するか分からないのに、合格するまでずっと養育費を払い続けるとすると、どうなるか。達也さんは「元妻の性格を考えると、長女が大学に入学しなかったとしても、払った養育費を返してくれる保証はないでしょうね。養育費は毎月振り込まれた瞬間に妻の個人的な飲み食いや買い物に“蒸発”しています」と言います。そうであれば、達也さんが個人的に入学金などをサポートする気持ちがあれば、そのお金を元妻には渡さず、長女に渡したほうが確実です。
「追加の養育費ははらうことができない」という達也さんの主張に対して、元妻はこうしたメールも送ってきました。
「優愛も成人式があって、いろいろ入り用なんだよ。(長女の養育費も)来年3月で終わるんだから、もう少しの辛抱でしょ! 私を悪者にするなんてドン引きだわ!」
養育費を「成人式」の費用に使うつもりなのです。しかし、達也さんはこれまで養育費を支払い父親としての責任を立派に果たしています。そして、成人式の費用を出さなければならないわけではありません。もちろん、かわいい娘の成人式です。達也さんにもサポートしたい気持ちはあるといいます。ただ、長女が就職し、自立している今、養育費として強要されるのは筋違いです。
ところが元妻は、法律論から感情論にすり替えて、達也さんをこう責めます。
「私たち離婚したんだよ! そうやってなあなあで甘えるのはやめてよ! いつも逃げてばかりで面倒なことは私に全部、押し付けるんだから! 公正証書に書かれていることに、ことごとく違反しているんだから自業自得だわ」