計画は実行状況をチェックすることが大事

武蔵野の「経営計画書」は、第36期までは私ひとりでつくっていましたが、現在は、毎年3月に、部長職以上の社員とプロジェクトチームのリーダーが集まって、その期の「経営計画書」の方針をアセスメントします。

小山昇『利益を最大にする最強の経営計画』(KADOKAWA)

「この方針は実行できた」「この方針は実行できなかった」「この方針は成果が出た」「この方針は成果が出なかった」など評価し、中止する方針と続行や修正の方針をアセスメントします。

「経営計画書」の内容を「リーダーシップ」「個人・組織能力」「戦略・プロセス」「お客様満足」「結果」の5つの要素に分けて、「強み」(実行して成果が上がった方針)「弱み」(実行して、成果が上がらなかった方針)のレベル評価を行います。

幹部が「新たな方針が必要」と判断すると、アセスメント時に原案をつくります。幹部から挙がった方針を私がチェックし、最終的には社長の責任において、「経営計画書」の内容を確定させます。

最初の2年間は社長が計画書をつくる

若い組織は社長のトップダウンによる経営が有効ですが、成熟した組織ならばボトムアップでないと成果が出ません。訓練された成熟した組織は、何年にもわたって社長の方針を実行してきた歴史があるため、リアルな知見が育まれているからです。

「経営計画書」をこれからつくる会社であれば、最初の2年間は社長がひとりでアセスメントをして、トップダウンで計画を立てる(並行して社員教育にも力を入れる)。そして、3年目からは幹部社員にも、「方針を実行できたか、できなかったか」を各自アセスメントさせ、協議するのが理想的です。

すると、「Aさんは実行できているけれど、Bさんは実行できていない。なぜBさんはできていないのか」「その方針は、そういう意味があったのか。知らなかった」など、話し合いによって理解が深まるようになります。

立てた計画の結果がわからないと、次のアクション(対策)が決まりません。経営計画は毎年見直し、「実行の可否」を振り返る必要があるのです。

小山 昇(こやま・のぼる)
武蔵野 社長
1948年、山梨県生まれ。東京経済大学卒。85年武蔵野入社、89年から現職。670社以上の経営指導を手がける。国内で初めて日本経営品質賞を2度受賞(2000年、10年)する優良企業に育てる。
(写真=iStock.com)
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