その一方で、売り手側にとっては、以前は趣味やストレス発散のひとつの手段でしかなかったモノづくりが、ECサイトの充実や、売る手続きが簡単になったことで、ひとつの「作品」として世の中に出ていき、認められやすい場ができたのです。この両者のニーズがうまくマッチしたことが、ハンドメイド市場の飛躍を支えていると考えられます。

そして、特に注目したいのは、売る側のインサイト(消費・購買意欲を促す潜在的な欲求)。もちろん、お金を得るというのはモチベーションのひとつですが、その奥には、通常の仕事以外での社会的な自己承認や自己実現を得たいという欲求があり、出品へのさらなるモチベーションとなっているのではないでしょうか。女性のほうが、職場や仕事で思うように働けない・評価されないと感じさせられる場面はまだまだ多い中、自分の能力を発揮でき、リア充ならぬソシャ充(ソーシャルな充実)欲求を満たす場として、また、なかなか好きを仕事にできないジレンマを解消する場として、CtoC市場が求められていたのかもしれません。

これまでにも、女性の新しい働き方のひとつに、資格を取り、自宅でサロンを開く「サロネーゼ」がありました。しかし、サロネーゼはサロンの場所と、講座を開く時間が限られるのが難点。それに対して、インターネット上で行われる新たなCtoCは、場所を問わないこと、そして時間の制約もないことで、会社勤めをしながらでも無理せず行える自由度の高いものになりました。形あるものに限らず、スカイプによるヨガ教室や料理教室といった、教えたい人と学びたい人を結ぶ学びのマッチングなど、今後もキャリジョの能力を活かした働き方は、広がりを見せていくことでしょう。

博報堂キャリジョ研(はくほうどうきゃりじょけん)
広告会社博報堂および博報堂DYメディアパートナーズの女性マーケティングプラナー、プロモーションプラナー、メディアプロデューサーたちが、2013年に立ち上げた社内プロジェクト。
キャリア(職業)を持つ、特にお金と時間を自分のために使いやすい子どものいない女性を「キャリジョ」と定義し、有識者ヒアリング、女子会形式の定性調査、インターネットによる定量調査などを通じて「キャリジョ」を研究している。