仮説検証で、未来を創る

──社員の失敗は責めたりしないのですか?

【高田】いや、責めますよ。ただ「どうして失敗したんだ」みたいな叱り方は絶対にしません。失敗して次にどうするか考えず放置していたら、叱ります。「後悔しなくていい。反省して修正しようよ」とよく言います。反省と修正はすぐに一緒に行うべきだと考えています。時間をかけすぎるのはもったいないですね。

──トルネード式的に言うと、らせんを上に進めずに休んでいたら叱るけど、少しでも速く上に進めようとする人は評価する、ということですね。

【高田】そうですね。速く未来に進むためにやっているので、そこで一休みするのは問題ですね。

──その考え方をどのように広げていますか?

【高田】僕は「同じ意見でも、Aさんにはイエス、Bさんにはノーって言うことはあるよ」と言っています。仮説を考え検証して結果も出すAさんなら、その意見は根拠があると思って任せます。でも思いつきで実績もないBさんだと、その意見には突っ込みますね。

──「根拠がある仮説を立てる」ことと「思いつき」とは別ものだ、ということですね。動画を45秒と決めたのも、根拠と仮説があるのでしょうか?

【高田】はた目には思いつきで「45秒」と言っているように見えるかもしれませんね。過去の経験上、商品紹介は3つの訴求ポイントで伝えられます。15秒ごとに1番・2番・3番と説明すればわかりやすいし、全商品をこのパターンでやれば見る人もわかりやすいと考えて、45秒と考えたわけです。

なぜクルーズ旅行を事業として始めたのか

──最近始めたクルーズ旅行も、同じように考えられたのですか?

【高田】若手役員からの提案があったんですよ。直感的に「面白い」と思って、実際に2日間イタリアでクルーズ船に試乗したらすごく良かった。その船が日本に来るとわかったので、2500室のうち900室を買い取りました。

──これも仮説と根拠があったのですか?

【高田】日本一周クルーズでは、横浜を出港し、翌日には富山に着いて夜8時まで観光。その翌朝には金沢に着いて観光。こんな感じで10日間続きます。船内の食事は食べ放題。そして当社のお客様は年齢層が高めなので、旅行ではゆったりしたいはず。しかもクルーズ人口は約10万人でまだあまり知られていません。どう考えてもピッタリです。「ジャパネットでこの良さを伝えれば、絶対に売れる」と思って売り始めたら、すぐ完売。そこで今度は一隻せき丸ごとジャパネットで買い取って、行き先や食事メニューをすべてお客様が喜ぶようにジャパネットで決めたら、それもほぼ完売。このために、第一種旅行業を取り、ホスピタリティがある添乗員さんも採用して、当社社員も常に十数名同乗するようにしています。

──まさに新市場創造ですね。私の両親も完全リタイアしていて、クルーズが大好きです。

【高田】行くとハマる人が多いですね。一方でクルージングに不安を感じる方もいらっしゃいますが、「ジャパネットなら大丈夫」と思っていただけるようです。常にお客様の期待を裏切らず、今後は毎年新ルートを作って、クルーズ仲間を集められるような企画にしていきたいです。