従来のお手軽な金融商品といえば、投資信託だろう。ファンドマネジャーと呼ばれる投資のプロに資金を運用してもらう商品だが、数が多すぎて何を選んだらよいのかがわかりにくいという問題点がある。また、証券会社や銀行には、金融商品の提案から売買までを行ってくれる「ラップ口座」というロボアド投資に似たサービスがあるが、預託額の2~3%と手数料が高く、1%前後のロボアド投資と比べて分が悪いといえる。

写真=iStock.com/PhonlamaiPhoto

一方、ロボアド投資のデメリットとしては、その手数料の存在がある。ロボアド投資が提案するポートフォリオを自分でつくることができれば、利用手数料はかからないからだ。しかし、それには当然、知識や経験が必要で、投資初心者にはハードルが高い。

ロボアド投資には、金融市場の変動に対応して、ポートフォリオをそのつど組み替えるという機能がある。1%という手数料の水準は、個人投資家にとって許容できる水準ではないだろうか。

ただし、実際に始めるに当たっては手数料を重視したい。すでに、マネックス証券の『マネックスアドバイザー』のように0.3%という格安な手数料のロボアド投資が登場しているからだ。各社で運用成績に違いはあるが、スタートしてから間もないため、単純な運用成績での比較は、現状ではさほど意味を持たない。中長期的な運用成績に確実な影響を与える手数料の割安な会社を選ぶのが賢明だ。

国内のロボアド投資のAIは、まだ、金融市場の動向を「予想する」という段階には到達していない。だが、「インデックス運用」と呼ばれる年金運用などで主流の手法では、すでに人間と肩を並べる、あるいは凌駕するレベルに達しつつある。これまで、掛け声だけに終わっていた「貯蓄から投資へ」を実現する、有力なサービスになりうるだろう。

松岡賢治
1963年生まれ。89年東京都立大学(現首都大学東京)法学部卒業。証券会社のリサーチ部門等を経て96年独立、97年ファイナンシャルプランナー資格を取得。クレジットカードをはじめ資産運用・投資関連等の記事を執筆。著書に『ロボアドバイザー投資1年目の教科書』。AllAboutガイド。
(撮影=小原孝博 写真=iStock.com)
【関連記事】
「ロボットアドバイザー」は信用できるか
AI時代でも「消滅せずに稼げる」職種10
AIで短時間審査、オンライン融資が拡大
10年後、AI時代に食べていける人になる
10年後に「機械の奴隷」となる職業は何か