家計簿の習慣をやめた途端、妻が“浪費家”に変貌

これが「生活費不足」の原因でした。たった1年で貯蓄200万円も減るのは“事件”です。どこかに浪費があるに違いありません。ご夫婦に聞き取りをすると、ある事実が判明しました。

家族マネー会議をしているときは、支出額やレシート・領収書の類が丸見えなので、妻は友人とのランチなどの費用を自分の小遣いから支払っていました。ところが、家計簿をつけなくなってから、そのランチ費用を食費に隠して支払うようになっていたのです。

月の食費が2人で6.4万円というのはやや使い過ぎです。その理由のひとつは、妻のランチ代が含まれていたからでした。また、妻の洋服もこれまでは妻の小遣いの一部を積み立てて購入していましたが、家計(被服費)から支払うようになっていました。つまり、夫との家族マネー会議という習慣がなくなったことで、妻の金銭管理がかなりルーズになっていたのです。

▼妻の支出に対する気のゆるみの原因は「夫」

Sさんは今まで妻に任せきりな部分もあったので、洋服が増えた、妻の外出が増えた、といったことに気が付かず、支出が膨らんでしまったのでした。

食費が跳ね上がった原因は、ほかにもありました。妻は「老後も健康でいるために」と単価の高い「こだわり食材」を購入するようになっていたのです。さらにスマートフォンのほかにタブレットの通信契約を結んでいたり(通信費は月3.1万円)、孫のためにこっそりお金を払っていたり(「孫費」が月2.8万円)。

Sさん自身にも「今まで懸命に働き続けて、楽しめなかったから」と思う気持ちがあり、自分たちへのご褒美として交際費(月1.7万円)や娯楽費(月5.3万円)の支出額を増やしていましたが、その「緩和策」が妻の支出に対するゆるみを作る原因になってしまったようでした。