高級ブランドのロゴがまる出し

高級ブランドに妄信的で、これさえ持てば免罪符のようにいつでも同じアイテムを使っている人は少なくありません。自分の軸がない方がブランドの威光を借りて安心しているのです。

これみよがしのロゴが大きく描かれた財布やかばん。ベルトのバックルが大きなロゴマーク。ロゴを見ただけで、いかにも高そうだと値段がわかる商品群。ロゴマークとは違いますが、シャツの袖からのぞく金ぴかの輸入高級ブランド時計。なかにはダイヤモンドや宝石付きの装飾時計もあります。

これらはお金持ちのアピールなのかもしれませんが、ビジネスシーンにおいてどんな印象に映るでしょうか。成金趣味、センスが悪いという印象を与えるだけでなく、まっとうな仕事をしていないと思われてもしかたありません。華やかなパーティーならまだしも、ビジネスには似つかわしくありません。「虎の威を借る狐」です。

足もとで台なし

靴は服装全体の印象を決める最も大切なアイテムです。

試しにスーツにネクタイを締めたスタイルで、足もとをレザービジネスシューズ、レザースニーカー、スポーツシューズ、サンダルと履き替えて鏡でご自身をご覧ください。想像以上に、違いが明白なはずです。靴とフォーマル度は密接に関係しています。

それと、多く見かけるのが日本独特のコンフォートシューズです。これは非常に残念ながら悪意なく広く普及しています。それに、履きやすいし、毎日履いても疲れなさそうです。しかし、この靴は誰が履いてもすべてを台なしにするほどの破壊力を秘めています。コンフォートシューズの他にも、過剰なデザインや、先が異常にとがっているシューズなどもNGです。

靴選びは大変重要です。履き心地だけでなく、見た目と全体のバランスを忘れずに。長く付き合える正しいデザインのシューズを選びましょう。「地に足が着く」です。

姿勢が悪い

いくら高価なスーツを着用しても、姿勢が悪いとスーツは美しく見えません。

背筋を伸ばし胸を張りましょう。姿勢は自分で意識的に胸を張るくらいでちょうどよく、スーツも美しいシルエットになります。姿勢がよいと、自然に視線も前を向きます。文字通り、前を向くと心理的にもやる気や活力が生まれてきます。姿勢と視線は明確な相互関係があります。つい、うつむき加減になりやすい方は、意識的に姿勢を正すためにタイトなシルエットのスーツを着るのも効果的です。

また、実際に姿勢を矯正できるスーツの仕立て方もあります。年齢を重ねると姿勢がうつむき加減になります。前向きの人生を続けるためにも正しい姿勢でスーツを着用しましょう。姿勢を正すことは、レオナルド・ダヴィンチの言葉にも「体の中心、健康の基本、長寿の秘訣は背骨にある。姿勢の悪さは背骨をゆがめ、万病の元凶となる」とあるように大切です。

日頃から、以上のようなNGスタイルにならないように気をつけていれば、ビジネスパートナーにいい印象を与えられます。国内でも海外でも、能力や仕事の成果を正当かそれ以上に評価される、「得するビジネスマン」になれるでしょう。

たかぎ こういち
スタイルアドバイザー
1952年大阪生まれ。服飾雑貨卸業を大阪で起業。その後、1998年に現フォリフォリジャパングループとの合弁会社取締役に就任して以来、オロビアンコ、マンハッタンポーテージ、リモワ、アニヤ・ハインドマーチなど海外ファッションブランドをプロデュースし、日本市場に広める。著書に『オロビアンコの奇跡』『LIKEABLE GUY STYLING FILE』(繊研新聞社)がある。
(イラストレーション=田島重則)
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